7月1日に新年度を迎えたマイクロソフトは同日、経営方針記者会見を開催し、4月より新代表執行役社長に就任した樋口泰行氏が今後の方針を説明した。
樋口氏はまず、2009年から2011年という中期的な経営方針として、「単に新製品を提供するのではなく、地に足のついた革新を進め、確実な成長軌道を実現する」とした。具体的には、ビジネス市場においてソリューションビジネスを拡大することや、コンシューマーおよびオンライン市場での基盤を確立することだ。
マイクロソフト 代表執行役社長の樋口泰行氏。クールビズ実践によりノーネクタイでの登場だビジネス市場について樋口氏は「日本ではメインフレームの市場がまだ大きく、コスト的な課題からマイクロソフト製品にも期待がかけられている」としながらも、「実際にわが社の製品を使ってもらうには信頼問題も含め、サポートやパートナーの営業支援など、ひとつひとつの積み重ねが大切だ」と述べ、地道な努力でソリューションビジネスの拡大に挑むとした。
一方、コンシューマーとオンラインビジネスの基盤確立に向けては、コンシューマー&オンライン事業部という新事業部を立ち上げた。樋口氏は、「さまざまな機器がPC化し、ネットワークでつながっていく。その中でコンシューマーに最大の価値を与えなくてはならない」としている。また、「オンライン百科事典のWikipediaなど、ユーザーが作り出すコンテンツも充実してきており、オープンインターネットの時代に対応する必要があると同時に、オンライン広告のビジネスモデルも重要だ」と述べた。新事業部の設立にあたり、マイクロソフトでは7月1日付けで代表執行役副社長として前 東芝EMI 代表取締役社長の堂山昌司氏を事業部トップに迎え入れている。
ほかにも樋口氏は、中期経営方針として顧客とパートナーの満足をとことん追及することや、日本の顧客による世界トップレベルの品質要求に対応すること、社員が能力を最大限に発揮できる職場環境を提供すること、環境に配慮した企業活動を推進することなどを挙げた。
この中期的な方針の中で、特に2009年度注力する点についても樋口氏は説明した。それは、新事業部を立ち上げたコンシューマーとオンライン事業はもちろんのこと、ビジネス市場におけるソリューションの提供、営業体制の改革とマーケティングの強化、Windows Vistaをはじめとする基幹事業の強化、顧客の不満をバネとした品質向上や技術者支援、そして優秀なリーダー人材を育成することだ。
前社長のDarren Huston氏は、日本における3カ年計画として「Plan-J」という名の下、日本での戦略的な投資を実践してきたが、樋口氏は「Huston氏の方針を引き継ぐ」としながらも、「日本人社長として日本に注力するのはあたりまえのこと」と述べ、今回はPlan-Jといった戦略名を押し出すことはなかった。前社長との一番の違いについて樋口氏は、「日本人であることから、顧客およびパートナーと連携する能力や、現場をプッシュする力、戦略実行力には長けている」と述べた。
米国本社では会長のBill Gates氏が第一線から退き、新年度と同時に新たな時代をも迎えている。5月にGates氏が来日した際は、マクドナルドで食事を取るなど「大変質素だった」とGates氏の印象を述べる樋口氏だが、同時にGates氏は「分刻みで仕事をしており、その姿を見ているとおのずと社員も一生懸命働くようになる」とした。
Gates氏の引退が与える影響はあるのか樋口氏に聞くと、「十分な時間をかけてこの日を迎えたため、大きな混乱はなかった。彼はソフトウェアの方向性を導く能力が非常に優れているが、これからも引き続き週1回は本社に出社し、アドバイスがもらえることになっている。また、マネジメント面ではSteve Ballmerというすばらしい経営者がいるので、特に大きな影響はない」と述べた。
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