ミラクル・リナックスは7月1日付けで、代表取締役社長最高経営責任者に児玉崇氏が就任したことを発表した。合わせて、これまで社長を務めた佐藤武氏は同日で取締役会長に、技術本部長である伊東達雄氏が新任の取締役に、CTOを務めてきた吉岡弘隆氏は今後シニアエキスパートとして、エバンジェリスト活動とMID(モバイル・インターネット・デバイス)の開発に専念する旨が発表された。
新社長となる児玉氏は、富士通、日本オラクル、米Oracleなどでエンジニア、OEM向けテクニカルサポート、事業開発などの経験を積み、2004年6月のミラクル・リナックス転籍後は、営業および戦略推進の責任者を歴任した人物。2007年12月のAsianux Corporationの創立にも貢献し、現在も同社の副社長を兼務している。
新経営体制の背景について、会長に就任した佐藤氏は、業務サーバLinux市場の成長が鈍化傾向にあることと、通信分野や携帯分野などのアプライアンス系、組込系といったLinuxの新たな市場が拡大しているといった環境の変化から「第二の創業の必要性があった」と説明。この第二の創業における推進力を高めるために、若い経営陣による社内の活性化と意思決定のスピードアップを図る必要性があったとする。
新社長となる児玉氏は、ミラクル・リナックスのコアコンピタンスを「技術者」であることを改めて強調したうえで、同社の「国産OSベンダーとしての強みをさらに推し進め、オープンソースコミュニティと企業をつなぎ、エンジニアが成長できる環境を醸成する企業にしたい」と所信を表明。ビジネス面では、従来からの「Asianux Server」の開発、販売、サポートビジネスと並ぶ新たな柱として、MID向けLinuxや統合監視ツールである「ZABBIX」のソリューションサービスを含む新規ビジネスを成長させ、今後3年間で90%の売上増を目指す計画を明らかにした。