Oracle OpenWorld 2008のハイライト、Larry Ellison CEOのキーノートで、「The X」の正体が明らかになった。「Oracle Exadata Storage Server」―データウェアハウスのデータを蓄積し、分析処理を行うアプライアンスハードウェアだ。それもExtreme Performanceで。Oracle Databaseと組みあわせて使用する。
発想としては単純、Oracle Database 10gからすでにあった機能と、同じくすでにあったハードウェアを組みあわせるというもの。また、同じような狙いの専用ハードウェアはすでに市場にも存在する。たとえば、NetezzaやTeradataがそうだ。
しかし、Oracle Databaseを使って処理しようとすれば高速なハードウェアを大量に用意しなければならない。ストレージとサーバの間のバンド幅も問題になる。
また、ウェアハウス専用の既存製品はカスタムハードウェアを使用するため非常に高価、また、Oracle DatabaseのようなRDB(Relational Database)が載るわけではなく、専用のデータベースを使用している。
つまり、ユーザーとしては、導入/設計/開発/保守/運用それぞれのフェーズに必要な膨大なコストに不満を持ちながらも、膨大なデータを高速に処理しなければならないというやむにやまれぬ事情から使い続けていたわけだ。
今回の製品はこうした市場の不満を受けて登場する。オープンテクノロジを使ったオープンなハードウェアを使用することでコストを抑え、利用を簡単なものにした。もちろんOracle Databaseの機能をフルに使える。
搭載されるのは2機のIntelのマルチコアプロセッサ、最大12TBのディスクドライブ、Oracle Enterprise Linux OS、Oracle Parallel Query Database Software。高速なプロセッサ、高速なドライブ、データ処理に最適化されたソフトウェア、さらにこれらをつなぐ高速なパイプ、そして外部への高速ネットワークを持つ。ハードウェアはHPとの共同開発だ。Oracle Parallel Query Database Softwareに関しては、Oracle Databaseからストレージとクエリエンジンを抜き出したものと考えればよいだろう。まずはx86 Linuxで稼働するOracle Databaseに対応、順次ほかのOS/アーキテクチャにも対応するという。
大量のデータを意志決定に活かす、オープンな業界標準を使う、というOracleのやりかたをデータ処理に活かしたのが今回の製品。もちろん、その処理にはOracle Dtabase 10gや11gの開発で蓄積された技術が投入されている。Oracle Exadata Storage ServerはまさにOracleならではのOracleにしかできないハードウェアだろう。
さらに、サーバーラック「HP Oracle Database Machine」も提供される。これは、Oracle Databaseに最適化された8つのサーバー、14のOracle Exadata Storage Serverを組みあわせたもの。Oracle Exadata Storage Serverをすぐに使える状態にしたラックマシンだ。Oracle Exadata Storage Server単独ではデータウェアハウスを高速化、HP Oracle Database MachineはOLTPの高速化を可能とする。