これまで長い間、Microsoftにとっては順調な道のりであった。同社のWindowsおよびOffice部門は、数十億ドル規模の利益を呼び込む稼ぎ頭となってきており、WindowsとOfficeのCDやDVDを生産する部門は、ただひたすら需要を満たすために次々とディスクの生産を続けるのみで十分であった。
しかしながら、このほどMicrosoftが米証券取引委員会(SEC)に提出した財務報告書で指摘された内容を考慮すれば、もはや同社にとって順風満帆の事業など消え失せようとしているようだ。TechFlashも報じている点だが、新たにGoogleのAndroidがMicrosoftに対抗する存在として浮かび上がったばかりか、2008年にはMozillaのみが特筆すべきライバルに挙げられていたのとは対照的に、Apple、Opera、Googleのブラウザも新たなライバルとして重要視されている。
とはいえ、筆者が非常に興味深いと感じたのは、Red HatとCanonical(Ubuntu)、さらには他の数々のオープンソース企業が、Microsoftの地盤を弱めかねない多種多様なビジネスモデルを展開して競争力を高めていると、Microsoftが認識するようになってきた点である。ご存知のように、Red Hatは長年、Microsoftからライバル視されており、オープンソースも大いに注意を要する存在と指摘されてはきたものの、いまやオープンソース分野でMicrosoftに対抗する企業が、以前とは比較にならない規模で挙げられるようになっている。
新たにMicrosoftが提出した2009会計年度の年次財務報告書は、まるでオープンソースを次から次へともぐらたたきのように挙げ連ねてライバル視している。
まず、Microsoftは、デスクトップ分野におけるライバルを以下のように評している。
多くの大企業がPC市場に異なるアプローチを取るようになるにつれて、一層熾烈な競争に直面せざるを得なくなっている。UNIXから派生した製品も含めて、市販のソフトウェア製品分野で競合する存在としては、Apple、Canonical、Red Hatの提供製品が挙げられる。Appleは、(ハードウェアもセットにした)総合的なアプローチでユーザーエクスペリエンスを高める戦略を取ってきており、とりわけ米国市場やコンシューマーセグメントにおいて、シェアの拡大に成功してきた。また、UNIXより派生した、General Public License(GPL)のもとで無料で利用可能なLinuxのOSも支持を高めており、特にエマージング市場においては、コスト削減をOEMに迫る圧力が増し加わり、新たな低価格のPCフォームファクタが市場で受け入れられるようになるにつれて、(Linuxの普及が加速する)傾向が顕著になってきている。HPやIntelなどのパートナー企業でさえ、(Windowsに)代わるLinuxベースのOSの採用に向けて、積極的な動きを見せるようになってきた。
Windowsは、従来のようなPCに対するコンシューマーの需要を減らしかねない、新たなデバイスやプラットフォームからの競争にもさらされるようになっている。Apple、Google、Mozilla、Opera Softwareなどの対抗企業が、Windows製品でインターネット利用を可能にするInternet Explorer(IE)と競合するソフトウェアの提供を進めている。モバイルデバイスのユーザー数および利用率も、PCとは対照的に、世界中で増加の一途をたどっている。OEMは、GoogleのAndroidを、小型のフォームファクタを採用するPCやネットブックに適応させるべく開発に臨んでいる。
さらに、オフィス生産性ソフトウェアの分野におけるライバルに関しても、以下のように評している。
MicrosoftのOfficeシステムへの対抗企業としては、Adobe、Apple、Corel、Google、IBM、Novell、Oracle、Red Hat、Zoho、アジアや欧州におけるローカルアプリケーションディベロッパーなど、実に多くのソフトウェアアプリケーションベンダーが挙げられる。(中略)OpenOffice.orgのプロジェクトも、無料でダウンロード可能なクロスプラットフォームアプリケーションを提供し、IBM、Novell、Red Hat、Sun Microsystemsなど、さまざまな商用ソフトウェアベンダーが、自社ブランドを冠する製品提供に踏み切るのをサポートしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ