なぜマイクロソフトはLinuxドライバをオープンソースにしたのか?

文:Mary Jo Foley(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:末岡洋子

2009-07-25 15:44

 Microsoftは先週、かつて激しく憎んでいたGNU General Public License(GPL)の下で自社技術を、それも2種類も公開した。米国時間7月20日にMicrosoftがGPLで公開したLinuxドライバ技術は、次期Linuxカーネルに組み込まれる計画だ。

 しかし、ZDNetの同僚ブロガー、Paula Rooney氏TechFlashのTodd Bishop氏の両氏が指摘しているように、Microsoftがこのような行動に踏み切った理由の1つはその後、Microsoftの説明とは違うところに発展している。

 Microsoftは当初、Linuxドライバ(LIC:Linux Integration Components)をGPL違反の形でライセンスしていた--Microsoftは当初、GPLとクローズドソースライセンスで公開されたコードを組み合わせて公開していたのだ。

 SuSE LabsのNovellフェローでLinux Driver Projectを率いるGreg Kroah-Hartman氏は7月20日、数カ月前、ある「コミュニティメンバー」からドライバについて相談を受け、Microsoftの提出は良い考えだと思ったと明かした。Kroah-Hartman氏がここで明かさなかったこと(その後、自分のブログに追加している)は、このコミュニティメンバーは“Linuxネットワーク配管工(Linux Network Plumber)”ことStephen Hemminger氏だったという事実だ。Hemminger氏は有名なLinux貢献者で、オープンソースネットワークベンダーのVyattaに勤務する主席開発者だ。

 Hemminger氏は自分のブログにて、Kroah-Hartman氏にアプローチした理由はMicrosoftのドライバが気に入っていたからではないと記している。アプローチしたのは、Microsoftがライセンスしている方法--オープンソースとクローズドソースのコンポーネントの組み合わせ--がGPLを侵害していると考えたためだ。

 私は7月21日の夕方、この情報が正確なのかどうかを確かめるためにKroah-Hartman氏にコンタクトをとってみた。以下は、電子メール経由でのKroah-Hartman氏と私のやりとりだ。

MJF:Hemminger氏が、MicrosoftがLICコードをGPLで公開した理由は、当初GPLを侵害していたためと主張しています。これは本当ですか?あなたは、GPLv2でコードを公開させる目的で、Ramji氏(Microsoftのプラットフォーム戦略担当Sam Ramji氏)らに対しGPL侵害を告げてコード公開を提案する必要があったのでしょうか?

Kroah-Hartman氏:私は何も「提案する」必要はありませんでした。私は明白な状況を指摘したまでです:)

MJF:もしこの情報が正確でなければ、(Hemminger氏の)コメントをどう解釈すればよいのでしょうか?

Kroah-Hartman氏:いいえ、正しいようにみえます。

 Microsoftがオープンソースライセンス規則に抵触するのは、これが初めてではない。同社は以前にも、OSIライセンス条項を守っていないのにコードをオープンソースライセンスで公開するとうたったために、CodePlexからコードを削除したことがある。

 今回の情報について、Microsoftに何かコメントがあるか問い合わせている。回答があれば、このブログで報告したい。

 アップデート(7月24日):数日の後、MicrosoftはブログサイトのPort 25経由で公式に回答した。Kroah-Hartman氏とHemminger氏が状況を説明しているにもかかわらず、Microsoftは当初の話を固守している。以下がRamji氏の回答だ。

Microsoftは、顧客、パートナー、コミュニティが共同でメリットを受けられるよう、GPLv2を選択した。

Microsoftの決断は、GPLv2が関連する義務に基づくものではない

 Ramji氏のコメントは率直な回答ではなく、GPL侵害という主張を指定するものでもない。だがどうやら、これ以上の情報は引き出せそうにない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ

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