インスタントメッセンジャー(IM)がビジネス用途でも利用されつつある中、大阪発のベンチャー企業Qriptがエンタープライズ向けIM製品を発表した。安全な環境下でIMを利用できる「Yocto」エンタープライズ版だ。
YoctoはこれまでASPサービスを中心に提供されていたIMだが、サーバを企業内で管理できるアプライアンス型のサービスへのニーズが高まったことから、エンタープライズ版の提供に至った。SSLによる通信経路の暗号化はもちろん、全通信記録のログが保存でき、ログ記録の検索機能も備わっている。ユーザーの追加は管理者のみが行い、例えば社長からは全員にメッセージが送れるが、一般社員から社長へのアクセス権は制限するといった権限の設定も可能だ。
ユーザー側の機能としては、メッセージ送信者への受信・開封確認や、一斉配信機能、携帯電話との連携機能、不在時の携帯電話への転送機能などがある。携帯電話向けの機能は、NTTドコモ、au、ボーダフォンの3つのキャリアに対応している。Qriptでは、「他社の提供する企業向けIMには携帯電話に対応したものがない」として、Yoctoをアピールしている。
今後の機能追加としては、他のIMとの連携やグループウェアとの連携、シングルサインオンへの対応などが予定されている。
テレビ会議システムについては、「技術的には可能だが、追加機能としての優先順位は低い」と、QriptのYocto事業部 課長 田中一美氏は話す。その理由は、映像のやりとりを保管するとなると、膨大なデータ量になってしまうためだ。映像データを保管しない方法も考えられるが、「管理者がすべてログ管理できることがYoctoのいいところ。データ保管をしないとなると、製品のコンセプトが違ってくる」と田中氏は説明する。
Qriptでは、YoctoをハードウェアメーカーにOEM提供することも視野に入れている。また、業界に特化したカスタマイズができるよう、「今後ソリューション提携が増えるだろう」と田中氏は言う。
価格は、ライセンス数が50クライアントの場合、初期ライセンス52万5000円、年間サポート費7万8750円、サーバ構築、設置調整、機器費用189万円などを含め、概算で258万8250円(税込)となる。今後はより安価なバージョンの提供も予定している。