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課題解決策として提示、効果の明確化で前進--SOA導入の肝要、BEAユーザー論じる

大川淳
2007/11/09 14:01

 日本BEAシステムズは「BEA Japan Forum 2007」を開催、SOA(Service Oriented Architecture)を中心に、システム基盤についての最新技術、特にビジネスの視点で業務プロセスを管理、改善できるしくみや、企業価値を向上させるソリューションなどを広く紹介、SOAを多面的に考察した講演、討議などが多数行われた。そのなかのひとつ「ユーザ企業のアーキテクトが語るSOA導入の勘所」では、出光興産 情報システム部 システム総合研究所 情報技術課チームリーダーの澤井隆慶氏、NTTドコモ プロダクト&サービス本部 プラットフォーム部 IPシステム開発第二担当 担当課長の斎藤剛氏、三井住友海上火災保険 IT推進部 システム基盤チーム 課長代理の田中敦史氏が登壇、日本BEAシステムズ プロフェッショナルサービス本部 エンタープライズアーキテクトの岡嵜禎氏と同社SOAシステムディベロップメントの神沢正氏がモデレータを務めた。

 論議は、SOA実現のために必要となる要因、1.導入プロセス、2.アーキテクチャー、3.人材--の3つを焦点として進められた。日本BEAの岡嵜氏は、SOA採用による効果の実証/明示をどうするか、ビジネス側、システム基盤側、どちらから始めるか、推進体制をどう構築するか、との論点を提示した。

 NTTドコモの斉藤氏は「実際にSOAを動かしている側からみて、決して順風満帆というわけではない。開発部門の使命は、どれだけ開発をしているかであり、要望は多いが、予算は限られており、すべて実現するのは困難だ。そうしたなか、単にSOAだ、といっても見向きもされない。意思決定をする層も、SOAという言葉がはやっていてよさそうだが、といった程度の理解で、積極的に予算を取ってはもらえない。ビジネス上の課題をみつけて、その解決策としてSOAがある、という問題解決型ストーリーとして説明すると、それなら意味はある、となる。スモールスタートになるが、先々の、中期的なロードマップを示してくことが肝要だ」と述べた。

 三井住友海上火災保険の田中氏は「SOAというものをきちんと認識して始めたわけでなく、当初は、さまざまなアプリケーションの再利用、あるいは、いろいろなプラットフォームで稼動させたい、といった目的で動いていた。当社では、保険金の不適切な不払いという問題を起こしたことから、業務プロセスの管理をしっかりさせようとの機運が高まった。それらの取り組みが結果的にSOAに結ぶついた。共通の問題認識があれば、先に進めるきっかけになる」と話す。

 出光興産の澤井氏は「当社では、全体的コスト削減のため、2年前から、大規模なシステム改編を進行させており、一定の標準が必要になった。さまざまなレイヤーで標準化を進めるなかで、しくみとしくみをつなげる構造が帰結として、SOA的になった。初めから、SOAをやろう、という意識はなかった。SOAという言葉を使ったこともない。こういうしくみを取り入れると、省力になる、というように、それぞれの事情に応じ、さまざまな効果が出る部分をみつけて適用していくことが重要だ」と語る。

 また、NTTドコモ斉藤氏は「失敗体験もある。効率の良いステム開発をするため、システム統合のプロジェクトを考えたが、うまくいかなかった。開発費はいくら下がるのか、レガシーと統合後のシステムと比べ、試算しようということになり、前提条件を積み上げ、前提の説明に傾き、結局は、サーバー統合で一定の効果が出るのはあたりまえであって、SOAの効果ではない、とされた」と振り返った。

 アーキテクチャーについて、三井住友海上火災保険の田中氏は「シンプルなものが重要であり、SOAだとかは意識されなくても、その上で動く、コントロールできる基盤をつくる。ユーザー企業側は、提案を受け、そのまま任せきりでは良くない。自分たちも勉強しながらやっていかなければならない。お願いしてつくってもらうのではなく、変える意識をもたなくては、内部ではなかなか理解が得られない。何か効果を示すことが重要で、その見せ方も努力すべきだろう。なぜアーキテクチャーを考えるか。それは問題を解決したいとの思いが反映されているのではないか」としている。

 NTTドコモの斉藤氏は「考えるより、まず、やってみる、というようなアプローチの仕方が大事だ。共通的なもの、インターフェースのポリシーなどを議論すれば、そういうところから出てきたルールは、SOAとマッチしてくる。ぼんやりとしていたものがはっきりしてくる。それは、普段の開発にどう臨むかとの姿勢の延長線上にある」と指摘する。

人材を巡る論点では、澤井氏は「情報システムを構築するのは手段であって、それができあがると、業務が改善され、経営に役立つ、というのがシステム部門の使命だ。システム構築のプロジェクト自体が成功したとしても、結果を出さなければ成功とはいえない。アーキテクチャーを策定したり、ITをつくる人々は、彼らが、シンプルで必要十分なシステムをつくることが重要だ。実際に手を動かす部分でなく、上位目標を見据えた姿勢が望ましい」とした。

 NTTドコモの斉藤氏は「システムインテグレーター(SIer)との関係が重要になる。彼らに考え方を共有してもらう。SIerに対し、発注する側は、どんなメッセージを出せるか。浪花節的になるが、意気に感じてもらえると、モチベーションは高くなる。こういうものをつくりたいという夢を語り、共感を得て、しくみをつくりあげるのがキーになる」と強調する。

 日本BEAの岡嵜氏は「ポイントとして、SOAアーキテクチャーチームをつくることが求められる。多数あるプロジェクトを横断的にみられるチームが必要になる。チームの推進にあたっては、トップの支持がないといけない」と話す。また「思いの強さがすべてを決めていくのではないか。みんなが同じベクトルをみられれば、困難を共有できる人をみつけられる。大型汎用機のアプリケーションを開発していたほうが楽だと感じている人々もいるが、そういう人といい関係を築いていくことが重要だ。だが、軸がないとまとまらない。夢や強い思いが、ひとつの推進力になる」とする。

 神沢氏は、全体の論議を踏まえ「SOAは、ビジネス上の課題解決のための策として打ち出し、短期的な効果を見つけ、まず実行すること。アーキテクチャーは、その議論ばかりしていても、SOAの結果としてのあるべき理想像は変わらない。みんなの考え方をまとめるためのものであるべきではないか。まず、策定し、それに沿って進めていくことが基礎となる。リーダーがいて、共感できるパートナーがいて、プロジェクトが始まる」まとめた。


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