「Web 3.0はクラウドコンピューティングであり、PaaS(Platform as a Service)の時代になる」――。米salesforce.comの会長兼最高経営責任者(CEO)のMarc Benioff氏は、Web 2.0の次の潮流としてPlatform as a Service(サービスとしてのプラットフォーム)を基盤にしたクラウドコンピューティングが時代を席巻するとの見方を明らかにしている。
salesforce.comではこのほど、同社のウェブベースの開発基盤サービス「force.com」を中心にした開発者向けイベント「ツール・ド・フォース東京」を開催。同イベントの基調講演でBenioff氏は、これまでの“サービスとしてのソフトウェア”(Software as a Service:SaaS)を推し進めたPaaSが、今後の10年間で重要な潮流になると説明している。
「今後10年間はSaaSとPaaSを中心に展開していく」と語るMarc Benioff氏
同氏は、SaaSの“キモ”として「マルチテナント」と「従量課金によるサブスクリプション」があることを説明。SaaSモデルでは、単一の基盤の上でたくさんのユーザー企業がシステムを利用することで“規模の経済”がメリットを発揮できる。このビジネスモデルにおいて、テクノロジーは“共有のサービス”基盤となることで、発電所において発生した電力を誰もが利用できるように、システムがもたらす機能をどんなユーザー企業でも、その恩恵を享受することができる。
Benioff氏の説明によれば、シングルテナントのシステムの利用状況を見ると、サーバの容量では利用状況が20%であり、残りの80%が未使用のままだという。同様に、ストレージ容量でも60%以上が未使用になるという。
マルチテナントのメリットは、システムを有効活用できるという点だけにあるわけではない。マルチテナントのシステムでは、小規模企業・中規模企業のユーザー企業が、大企業と同じシステムを使えるという点にもある。大規模のスケールのシステムをどんな規模のユーザー企業でも活用できるのである。salesforce.comが提供するシステムでは、応答時間が1秒以下という高速レスポンスの性能を誇り、数十億単位のトランザクションを処理できるとしている。同社のシステムは1日あたり1億5000万のトランザクションを処理できるという。
またsalesforce.comのシステムでは、ユーザー企業のニーズを吸い上げてシステムをアップグレードさせるために、「過去9年間で26回のメジャーリリースを実施してきている」(Benioff氏)という。そうしたシステムを提供している同社のユーザー企業は全世界で4万3600社以上、エンドユーザーの数にして110万以上になっていると同氏は説明する。同社のユーザー企業には、米DELLや米Cisco Systemsなどの大企業が積極的に利用している。日本国内でも日本郵政や三菱UFJ信託銀行、キヤノン、小田急電鉄、日立ソフトウェアエンジニアリングなどの大企業が活用している。
salesforce.comは1999年に設立されているが、「これまでの10年間はSaaSを中心に事業を展開してきた」(Benioff氏)が、「今後の10年間はSaaSとともにPaaSを中心がなる」(同氏)としている。
「Web 1.0の世界では、キラーインターネットアプリケーションとしてYahoo!やamazon.com、ebayなどが注目された。Web 2.0の時代では、ユーザー主導型コンテンツが潮流となり、YouTubeやmyspace、facebook、Wikipediaなどが、そのプレゼンスを高めている。来るべきWeb 3.0の中では、force.comやamazon.comのS3やEC2、GoogleのApp Engineなどのプラットフォームが注目を集めることになる」(Benioff氏)
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