VoIPブームを起こした革命児であるSkype Technologiesだが、まだビジネス確立に向けた課題は多い。そのSkypeでテレコムおよびSkype for Businessを担当するシニアバイスプレジデントであるMichael Jackson氏が、フランス・パリでプレス向けに発表会を行い、Skypeの戦略について語った。
Jackson氏によると、Skypeの登録者は現在、約1億1300万人に上るという。また、国際通話の7%がSkypeを利用している。Skypeの戦略は、(1)登録者を増やす、(2)Skypeを活用してもらうの大きく2つ。特に、Skypeを活用してもらうことを実現するため、さらなる機能を提供するアプリケーションを開発している。
その一例が、1クリックで通話を開始できる「Click to Call」だ。先にGooleと提携し、同社の広告で使われることになった。また、ビデオカンファレンス機能もまだまだ普及の余地があるし、改善の余地があると見ている。現在、このようにSkypeの活用を促進するようなアプリケーションの開発を進めている。
さらに、その延長線上にあるフォーカスエリアに法人市場がある。Jackson氏は、「Skypeユーザーの30%がビジネスで利用している」と話す。たとえば、米国でブルーベリー農園を経営する男性は、取引先の訪問などで社外にいることが多く、あらゆるところからSkypeを使って、取引先やオフィス、家族とやり取りしているという。
「どこにいても利用できる。これがコンバージェンスの強みだ」とJackson氏は話している。
現在、Skypeの法人戦略におけるターゲットは、中小規模の企業向けだが、「大企業でも作業グループやこの営業マンのような旅行の多いビジネスマンにアピールできる」とJackson氏は言う。Skypeでは今後、ビジネスユーザー向けのサービスのリリースも計画しているようだ。
また、もうひとつのフォーカスエリアとしてモバイル分野がある。Skypeは、先に数社のハードウェアパートナーとともに、Skype搭載WiFi電話を発表している。現在、携帯電話向けOSとしては「Windows Mobile」にのみ対応しており、できるだけ早くSymbian、Palmなどにも対応する計画だ。
現在、モバイル端末でのシェアは5〜10%程度。「Skypeがあらゆるところで利用される。これが理想だ」とJackson氏は話している。
しかし、VoIPを巡る競争は激しくなっている。MSN、Goole、YahooなどのIMサービスも音声通話機能を提供しはじめている。このような状況に対しても、Jackson氏は余裕を持っている。
「Skypeのフォーカスはあくまでも音声。リアルタイムコミュニケーションだ。われわれはIM機能も提供するが、音声分野では勝つチャンスがあると思っている」(Jackson氏)
そのための戦略としては、プラグインアプリケーションにより、ハードウェアに搭載したり、エコシステムを確立することなどだ。「この点ではSkypeは他社の一歩先を行っている」とJackson氏は自信を見せた。この他の競争としては、ウェブベースではない既存のテレコム企業は競合相手と思っておらず、キャリア独立性、ネット中立性などは好材料と見ているようだ。
また他の一部のサービスで実現しつつある相互運用性については、「Skypeでは当面予定はない」と言う。「ユーザーからのニーズもないし、アプリケーションが高機能になると実現は難しい」とJackson氏。「土台部分では相互運用性が実現するかもしれない」と消極的な見解を述べている。
現在、同社の収益モデルは、Skype OutやVoiceメールなどの有料サービス。「広告モデルはあまり現実的ではない」とJackson氏。今後も無償アプリケーションとして提供し、有料サービスで収益を得るモデルを維持するとした。一方、無償アプリケーションで指摘される信頼性、セキュリティ、トレーニングなどの問題については、Jackson氏は「深刻な懸念ではない」とした。
「たしかにQoSはない。だが、動いている。ユーザー数が多いソフトウェアはバグも少ない。問題があれば、ユーザーがレポートしてくれる。Skypeはさまざまな環境でテストされている」(Jackson氏)
Jackson氏は最後に、生産性の向上、コストの削減、コンバージェンス(通信の融合)によるメリットを受けられる点などの長所を強調し、「Skypeの戦略は、ビジネスの性質を根本的に変えるものだ。まずは使ってみるべき」とSkypeを売り込んだ。
「Skypeがあらゆるところで利用される。これが理想だ」と話すSkypeのMichael Jackson氏。
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