LinuxWorldは、もはやLinuxのためだけのものではなくなった。
初期のLinuxWorld Conference and Expoでは、IBMがLinuxのサポートを始めたなどという、ごく基本的な事柄が取り上げられていた。また、同イベントでは毎回、Linuxの設立者であり先導者であるLinus Torvaldsが講演を行っていた。
サンフランシスコに集う1万1000人を超える参加者と、200以上の出展者を魅了するという使命を帯びたこのイベントではここしばらく、Linuxがイベント会場のセンターステージにすら登場しない状態である。その代わり、Linuxは、一部の熱心な聴衆の心を惹きつける役割を果たしている。
LinuxWorldに出展する新興企業Virtual IronのチーフマーケティングオフィサーMike Grandinettiは、「現在のLinux利用者は、早くからLinuxを導入していたユーザーだ。彼らは、あらゆるテクノロジーの早期導入ユーザーと同様の傾向を持っている」と指摘する。Grandinettiがターゲットとしたいのは、こうしたユーザーなのだという。
Linuxは近年、学術的な興味を追い求めるための趣味的なプロジェクトというポジションから脱却し、強い影響力を持つようになり、一目置かれる存在へと変貌した。大半のコンピューティング企業がLinuxの支持もしくはサポートを表明しており、そのオープンソース理念はIT産業の大部分へ波及している。
競合するMicrosoftでさえ、独自の方法でLinuxとの関わりを持っている。Linuxマシンで満杯になったMicrosoftの研究施設を運営するBill Hilfは、LinuxWorldカンファレンスで、LinuxをWindowsインフラストラクチャに組み入れる過程で学んだことを話して見せた。
そうしたテーマを選んだのは、Microsoftの多くの顧客が、LinuxとWindowsの互換性問題にどう対処すればよいのか知りたがっているからだと、Hilfは説明している。実際にMicrosoftは、WindowsとLinuxの互換性を高めることが会社の利益になることを認識している。
IDCのアナリストJean Bozmanによれば、Linuxサーバの売上は2003年から2004年にかけて44%成長し、42億5000万ドルとなったという。なお、サーバ市場全体の売上は462億ドルに達した。2009年までには、市場全体の売上額は608億ドルに、Linuxサーバの売上は93億ドルになると予測されている。
潮流に逆らうところがLinuxWorldカンファレンスは、こうしたLinuxの影響力の増大にもかかわらず、今日のコンピューティングトレードショーとは逆の傾向を示すようになった。ComdexやCeBit Americaといった一般向けのイベントでは、財政的な逼迫からイベントの焦点を絞るようになってきている。