サンフランシスコ発--Oracleの社長Charles Phillipsが、今後5年以内には、顧客の半数がLinuxを利用している状況になるだろうとの予測を示した。
Oracleでは、アプリケーションからデータベースまであらゆる製品を提供するというアプローチを採用しており、Linuxオープンソースオペレーティングシステム(OS)は、同社の技術スタックを補完するうえで、重要な要素となっている。Phillipsは米国時間9日、現地で開催されている「LinuxWorld」カンファレンスにおいて、OracleにはOSが必要で、Linuxがそうした欠落部分をさまざまな形で埋めることができると発言している。
Oracleユーザーは、より快適な使用環境が整い、その低コスト性と大きな予見性を認識するにつれ、Linuxの利用を拡大させてきていると、Phillipsは述べた。
Phillipsによると、現在はOracleの顧客のうち20%がLinuxを利用しており、この割合は上昇する見込みだという。
「少なくとも5年以内に、当社の顧客の50%以上がLinuxを利用することになる」とPhillipsは述べた。また、この数値が90%まで上昇するのは、不可能ではないかもしれないが、非常に難しいだろうとした。
OracleユーザーがLinuxの利用に満足を覚え始めていることを示す徴候は、ユーザーの移行過程にも見て取れる。
Phillipsによれば、過去12カ月間で、Linux上でアプリケーションサーバの予備的な動作実験を行い、その後Linuxデータベースを導入する顧客より、Linuxマシンを利用してデータベースおよびJavaアプリケーションサーバを稼働させる顧客の数が増えているという。
Phillipsはまた、今日では1500以上のソフトウェア企業がLinux上でOracle製品を稼働させることをサポートしていると話している。
プレゼンテーションにおいて、PhillipsはOracleのLinux分野に対する取り組みを紹介した。これによると、Oracleがそうした取り組みを開始したのは、同社がLinux上で動作するデータベースをリリースした1998年に遡るという。その2年後には、同社は64ビットLinux向けのデータベースを発表している。
ほかにもOracleは、オープンソースおよびLinuxの実験ラボを設立したり、「Linuxカーネルチーム」を立ち上げて、同社の全ソフトウェアスタックでコードレベルのサポートを実現したりしている。
さらにPhillipsは、アナリストらの調査では、Oracleの2004年におけるLinuxデータベース分野での市場シェアは81%で、IBMの同シェアは17%、またその他のベンダーは3%になっていると述べている。
例えばAmazon.comでは、Real Application Cluster機能でクラスタ化されたLinuxデータベースを使用し、またバンダービルト大学はOracleのLinuxグリッドを導入している。
「Linuxを利用している組織には、こうした大規模なものもある」(Phillips)
グリッドコンピューティングは、Oracleが取り組む主要なテーマの1つである。同社は、複数のコンピュータを接続しグリッド化して、単独の高価なシステムの代替とする技術が今後本格化すると考えている。
「Linuxは、グリッドの重要な構成要素となるものだ。グリッドコンピューティングを実現するには、構造面からのアプローチや標準的なアプローチが必要となる。Linuxがそうしたアプローチを実現する」(Phillips)
Oracleはまた同日、「Oracle Cluster File System Release 2」を一般公開したことや、独立系ソフトウェア開発企業Kronos、McKesson、YantraがOracleのソフトウェアをLinux上で利用し、顧客に自社製品を提供していることを明らかにした。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ