高パフォーマンスなコンピューティング分野で大きな成功を収めたLinuxに続こうと、Microsoftが、Windowsとデータ集約的なコンピューティンググリッドの適合性を向上させる取り組みを強化させている。
Microsoftでテクニカルコンピューティング部門コーポレートバイスプレジデントを務めるTony Heyは米国時間4日、CNET News.comのインタビューに応じ、MicrosoftはWindowsの「Compute Cluster」版を開発しており、グリッドの業界標準団体と密接に連携していくつもりだと話した。
グリッドコンピューティングとは、複数のマシンを連動させ、コンピューティングタスクを効率的に処理する方法を一般的に指す言葉だ。多数のアプリケーションがもとは分かれていたリソースを共有できるようにしたり、自動的に優先的なタスクを並行処理したりすることがグリッドを利用する目的である。
IBMやSun Microsystems、OracleといったMicrosoftの競合企業も、主に低コストなサーバ上でLinuxを稼働させる方法を採用した、独自のグリッドコンピューティング計画を明らかにしている。グリッドコンピューティングは今もその大部分が科学者および研究者の領域ではあるが、企業がハードウェアの活用度を高めるためにグリッドを用いる例が増えている。
こうしたグリッドへの関心の高まりをよそに、Microsoftは、社内研究以外の話題については基本的に沈黙を守っている。もっとも、同社の構想が既存のグリッドベンダーと多少異なっていても、驚くには当たらないだろう。
Heyは、英国で「e-Science」研究活動を率いたのち、2005年6月にMicrosoftに入社した。同氏によれば、Microsoftの開発の焦点は、多くの企業や標準団体が取り組んでいるコンピューティンググリッドよりも、むしろデータグリッドに置かれているという。
データグリッドは、異なるデータソースにアクセスし、情報を統合して1つのコンピューティングタスクに使えるよう設計されたものだ。
例えば病院では、イメージングシステムでX線写真を閲覧し、同時に別の場所にある患者の関連情報にアクセスすることが可能になる。また金融サービス企業などは、大量のデータをネットワーク経由でやり取りしなくても、複数のデータベースのデータマイニング分析が行えるようになる。
「データの連携こそが、最大のメリットだ。コンピュータの処理能力を統合するというのは、わたしにとってはそれほど重大なことではない。ペタバイト級のデータを移動させる必要などないのだ。サーバクラスタをデータの方へ動かせるのだから」(Hey)