1月18日、来日したLPI(Linux Professional Institute)Inc.のCEOであるJim Lacey氏は、「LPIは成長の第2段階に入った」と述べ、Linuxに関する認定団体として、さらなるプレゼンスの向上を目指すための戦略展開に意欲を見せた。
LPIは、Linuxの普及を目指した人材育成を目的として、1999年に発足したNPOの国際組織であり、世界共通のLinux技術者認定資格である「LPIC」(Linux Professional Institute Certificate)の運営を行っている。
2005年11月にLPI本部のCEOに就任したLacey氏は、ITのトレーニングコースを提供する米Bradford Learningの社長兼CEOでもある。それ以前は、Linuxのサポートビジネスを行うLinuxcareのゼネラルマネージャやComp USAのテクノロジートレーニング部門ディレクターなどを歴任し、IT教育の分野で幅広いキャリアを持つ人物だ。LPIのCEOに就任して以来、今回が初の来日となる。
Lacey氏は、LPIの最終的なビジョンとして「Linuxに関する認定団体として世界でナンバーワンになること」を挙げ、2006年においては、それを実現するための戦略を根付かせることが目標だと語った。LPIでは、具体的な18の戦略的目標を設定しており、その戦略マップを現四半期中にも一般に公開するとしている。
その戦略の中のひとつとして挙げられているのは、エントリークラスの試験となる「LPICレベル1」の再構築だ。
「LPICレベル1のエントリーとしての位置付けをより明確にし、ベンダー固有の資格試験は、その上位に位置するものとしてブランディングする」(Lacey氏)としており、具体的にはSUSEやubuntuといったディストリビューションを持つ各ベンダーと協力し、LPICレベル1を、ベンダー資格を受験する際に必須の要件としたり、試験の一部免除の条件とするといった形で普及を進めていくという。
また、LPIのプレゼンスをより高めるための方策として、各国別のマネージャの上に「エリアオペレーションマネージャ」と呼ばれる地域の統括担当者を置く組織的な改革も進めている。Lacey氏は、エリアオペレーション戦略について「日本で成果を上げたやり方を世界規模で展開するものだ」と説明した。ワールドワイドでのLPICの受験者数は、これまでに10万人を超えるが、その半数に当たる約5万人は日本での受験者だという。
「LPICにとって日本は特別な市場であり、それはLPI-Japanのトップである成井弦氏の功績が大きい。強力なリーダーシップと深いコネクションを持つ人物をエリアマネージャに任命することで、世界的に同様の展開を目指したい」(Lacey氏)とし、既に南米のほか、北米、中国語圏でのマネージャを任命済みであるという。
そのほか、IT以外の業界への働きかけも積極的に行っていくという方針も説明。例として、製造業界の展示会への出展などを挙げた。
「LPIの進化は、Linuxの進化と深く結びついている。第1段階では、開発者のニーズを満たすことを目的として、より良いサービスを提供することを目指してきた。今度は、LPIが自ら次のレベルへ進もうとしている。単なる認定組織というだけではなく、オープンソースの普及を後押しするための活動を積極的に展開している点が、LPIと他の認定組織との大きな違いだ」(Lacey氏)
LPICでは現在、レベル1とレベル2の認定試験が提供されている。応用レベルの実践的な知識を認定する資格である「レベル3」については、現在開発中だ。レベル3の完成時期についてLacey氏は、「さまざまな企業とジョブタスクの定義を行っている段階。特に日本市場ではレベル3に対する要望が強いことを認識しており、2006年中には完成させたい」との意向を示した。