OracleにはLinuxをサポートする能力があり、LinuxのサポートはOracleにとって「戦術的な価値」がある。米国時間10月20日、Ubuntu Linuxプロジェクトの創始者で、将来Oracle のパートナーとなる可能性のあるMark Shuttleworth氏はこのように述べた。
Ubuntuの開発を支援をするCanonicalの創設者兼最高経営責任者(CEO)Mark Shuttleworth氏は20日、CNET News.comの取材に対し、次のように語った。「LinuxのサポートがOracleに莫大な利益をもたらすとは思わない。将来的にも、同社にとって利益率が高い、興奮するような成長ビジネスには決してならないだろう。(こうした製品は)コモディティ化して(利幅の薄い)ビジネスになりつつある」
「しかしだからといって、(Linuxのサポート)分野で影響力を持ったり、事業展開することがOracleにとって戦略的価値がないわけではない」(Shuttleworth氏)
Shuttleworth氏は、Oracle OpenWorldカンファレンスの前夜に取材に応じたが、そこではOracleがUbuntu Linuxを採用する計画であるとの報道がなされている件や、Canonicalが実際に(Oracleとの)提携に向け取り組んでいるのか否かについてはコメントを避けた。また、Canonicalのビジネス開発マネージャーのChristopher Kenyon氏も以前、Oracleが無償版データベースソフトウェアのOracle Database 10g ExpressがUbuntu Linux上で稼働するようにしていることに言及しているが、両社の正式な提携については言及を避けた。
しかしShuttleworth氏は、Oracleが急速にLinuxのサポートを強化する可能性は低いとの見通しを示した。「(Oracleが)いつまでに(Linuxのサポートを)どの程度強化するといった大々的な発表をすることはないだろう」(同氏)
しかし、Jefferies & Co. のアナリストKatherine Egbert氏の見解は、Shuttleworth氏の見方とは対照的だ。Egbert氏は先週発表したレポートの中で次のように述べている。「われわれは、Oracleが、ソフトウェアスタックがプリインストールされたハードウェアアプライアンスか、ソフトウェアアプライアンスを間もなく開催されるOracleWorldか、あるいは10月26日に開催される投資家向けの説明会で発表すると見ている」
OracleがLinuxをサポートするのではないか、との憶測を呼んだきっかけは、同社のCEOであるLarry Ellison氏が4月に、「フルスタック」のソフトウェアが欲しいと発言し、さらにOracleがLinuxのサポートやバンドルを行う可能性を示唆したことだった。
Oracle版Linuxは、Linuxディストリビュータ最大手のRed Hatにとっては脅威となる可能性がある。しかし、OracleがLinuxをサポートすることを同社の顧客が熱望しているか否かは不透明だ。Oracleは1999年に、同社のデータベースと、OSを組み合わせた「Raw Iron」プロジェクトを立ち上げたが、結局失敗に終わった。