MySQLの買収、相次ぐ製品のオープンソース化、Java + YouというJavaOneのキーメッセージ――これらはすべてSun Microsystemsが今目指しているある方向性に基づくものだ。
Sunは今、新しい顧客層へのリーチを求めている。MySQLを買収したことで、インストールベースにSunのサーバを売ることができる。SolarisやJavaをオープンソースにすることでプロプライエタリな技術に対価を払うことのできない層にアクセスできる。結果、Sunは新しい顧客にアクセスでき、新しいビジネスに結びつけることができる。すべて新しいリーチのためだ。
JavaOne Conference 2008でJonathan Schwartz CEOは「タダほど安いものはない。タダこそが世界共通になりうる価値だ」と発言した。同氏によれば無料のオープンソース製品を持つことで南米などの発展途上市場へのアクセスを手に入れ、また、"Free"―ソースが公開されている―ことから教育市場へのアクセスを手に入れたという。
JavaはすでにPCや携帯電話において圧倒的なインストールベースを獲得している。JavaベースのBlu-rayが、HD DVDに勝利したのも追い風だ。JavaFXはAIRやSilverlightに対し、後発ながら、このインストールベースがあるからこそ戦っていくことができる。
JavaFXが成功すればフロントエンドにJavaを埋め込むことができる。これまでバックエンドで強みを持っていたJavaに新たなリーチを生む。この意味でJavaFXはSunのJava戦略の要と言える。
また、Javaのスクリプト言語サポートについても同じくだ。「JVMはJava+Virtual Machine。これを分離して独立に使いやすくすることでより広い開発者がJVMを使うようになった」とSoftware ChiefのRich Green氏。FacebookやTwitterのようなネットベンチャーはスクリプト言語の開発者を多く抱える。MySQLと併せれば、Sunは彼らに最も太いアクセスを持つ大企業となりうる。
今回のJavaOneでSunはJavaのインストールベースと、一度作ればほとんどのデバイスで動くという強みをあらためて強調している。Sunがねらうのはこれを会社として実現することだ。つまり、あらゆるデバイス、あらゆるサービスでSunのテクノロジが何らかの形で利用されてるという世界の実現をねらっている。相次ぐ買収とオープンソースへのコミットメントはこの世界につながる道―Schwartz CEOのドライブする今のSunはそう考えている。
もちろん、Sunはここからサポートサービスとハードウェアの売り上げで利益を生み出すことができる。Schwartz CEOの口からはサポートという言葉が繰り返し語られた。