システム構築・データセンターサービスの企画・運営などを展開するエクシードは9月16日、必要に応じてCPUやメモリ、ハードディスク(HDD)を利用できる仮想サーバホスティングサービス「Libra」(ライブラ)の提供受付を9月21日から開始することを発表した。サービスの開始は10月13日を予定している。
Libraは、ウェブ上で使いたいサーバのCPUやメモリ、HDDといったリソースを決めて調達、サーバの起動と停止、再起動ができ、途中でリソース量を変更することもできる。課金状況とサーバの稼働状況もウェブ上から確認できる。選択してから実際に使えるようになるまでに数分程度ですむという。
購入できるリソースの最小単位は、メモリ1GB、CPU0.4コア、HDD30GBを2ユニットとして、1万2600円となっている。利用料金は月額の後払いだ。月の途中でリソースを増減させても、その増減分は日割りで計算される。
今後提供されるLibraは「使った分だけ支払う」(同社代表取締役社長の鈴木義則氏)のユーティリティコンピューティングと表現できる。これを同社では「サーバリソースの計り売り」(同社システム技術部の末広美奈子氏)という言葉で説明している。
実際にLibraを利用するには、ウェブサイト上でアカウントを申請してから、2〜3日かかる。これは同社内で「与信管理に時間がかかる」(鈴木氏)ためだ。
Libraには、ユーザーが選びやすいように“テンプレート”を用意されている。今回用意されている7種のテンプレートはいずれもLinuxがOSだ。
「Plain Small」(参考税別価格1万2000円〜)はLinuxのみが導入されており、「LAMP Small」(同1万2000円〜)と「LAPP Small」(同1万2000円〜)はウェブサーバとデータベース(DB)で構成、「LAMP Middle」(同2万4000円〜)と「LAPP Middle」(同2万4000円〜)はSmallの構成に、負荷分散の役目を果たすスイッチサーバを加えている。残る「LAMP Large」(同4万8000円〜)と「LAPP Large」(同4万8000円〜)は、Middleの構成を冗長化したものになる。“LAMP”は「Linux、Apache、MySQL、PHP」、“LAPP”は「Linux、Apache、PostgreSQL、PHP」の略だ。
今回用意されたテンプレートは、ユーザーの要望にあわせて、種類を増やす方針。あるユーザーの要望にあわせてカスタマイズさせたものをテンプレートとして、ほかのユーザーに流通させていきたい考えだ。
Libraで興味深いのは調達されたサーバはすべて結線されているものであり、ユーザーがデータセンターで作業することなく、購入から利用までウェブで完結している点だ。この点で既存の共用レンタルサーバや専用ホスティングとは異なっている。
独自環境を構築したいとなると、ユーザーの希望通りの専用ホスティングが合うが、専用ホスティングだと納期やコストの点で課題が多い。そうしたニーズにあわせて最近では、仮想化ソフトを活用した「VPS(Virtual Private Server)」が注目されているが、エクシードによれば、「使えるVPSは割高になりがち」という。
共用レンタルサーバや専用ホスティングの場合、サーバのリソースをピーク時にあわせてサイジングをする必要がある。そのために、ピークではない通常時でも、同じ料金を支払わざるを得ない。つまり、コストパフォーマンスという点ではやはり問題が存在する。加えて、既存のサービスはオプションが複雑なために、かえってサービスの内容がユーザーにとっては分かりにくいという課題も抱えている。
Libraを活用すれば、たとえば、企業の広告展開にあわせてシステムを稼働させることが可能になる。マーケティング策としてウェブを活用、メディアへの広告展開でウェブへのアクセスが増大していく過程で、リソースを追加、システムを増強させるていくといった使い方が可能だ。メディアへの広告掲載が落ち着く頃には、リソースを減らすといったことも可能になる。