ユビキタスは11月10日、組み込みシステムの起動時間を短縮する製品「Ubiquitous QuickBoot」を発表した。
QuickBootは、ユビキタスが独自開発した新技術を採用したソリューション。システムの起動に必要なメモリ領域を優先的にフラッシュメモリのような不揮発性ストレージからRAMに復元することで、他の方式より短い時間での起動が可能となる。ユビキタスが実測したところによると、Androidを使用した実装例では、電源投入から1秒台でアプリケーションが実行できる状態まで復元可能だったという。
デジタル家電や携帯機器のOSとしてLinuxやAndroidを使用するケースが増加しているが、電源断からの起動時間が数十秒から1分前後かかることが機器メーカーにとって課題となっていた。起動時間を短縮する方法としては、動作時のRAMに展開されたシステムの状態を不揮発性ストレージに保存し、電源投入後、RAMに復元するハイバネーション方式と呼ばれる高速復帰の手法が解決策のひとつとして一部の機器で使われ始めているが、「ハイバネーション方式では、システムやアプリケーションが使用するメモリ空間が大きくなるほど、ストレージからRAMへ読みだして展開する時間が増大し、起動時間が遅くなるという欠点がある」とユビキタスは説明する。
こうした課題に対し、ユビキタスの開発したQuickBootでは、「起動に必要なメモリ領域を優先的にRAMに読み出して復帰させるため、アプリケーション側で使用しているメモリ量に依存せず、1秒台での起動が可能」(同社)という。残りのメモリ領域は起動後に順次読み込むため、ユーザーの操作にほとんど影響を与えないとのことだ。
また、LinuxやAndroidを採用する機器では、復帰までにかかる時間を短縮するため、ユーザーが電源断の操作をした時にCPUやDRAMを通電したままのスタンバイ状態にしているため、待機電力がかかっているが、QuickBootでは、電源が完全に切れている状態から1秒台で起動できるため、「家電製品の待機電力削減や携帯機器のバッテリー駆動時間の延長にもつながる」(同社)としている。