iPhoneの企業向け機能の“これまで”を振り返る
他のApple製品の例に漏れず、iPhoneは2007年のデビュー当初から一貫して個人ユーザーにターゲットを絞ってデザインされてきた。スマートフォンカテゴリとして比較されることが多いBlackBerry端末と比較すると、BlackBerry Enterprise Server(BES)のように堅牢なバックエンドソフトウェアが存在しない、グループウェア端末としての機能に乏しい、という傾向は否定できない。
その大まかな方向性に変化はないが、変化の兆しが見え始めたのは2008年7月にリリースされた「iPhone OS 2.0」のとき。Microsoft Exchange ActiveSyncとCisco IPsec VPNのサポートや、IEEE 802.1x認証への対応は、いずれも企業ユーザからの要望に応えたものだ。
2009年リリースのiPhone OS 3.0では、文書作成作業の効率化において不可欠な「コピー&ペースト」をようやくサポート。純正の一部アプリ以外はマルチタスク処理が認められないことに変化はなかったものの、メッセージを瞬時に伝達できるプッシュ通知機能も用意された。
エンタープライズ向けの着実なアップデート
今回のiOS 4は、マルチタスキングやフォルダのサポートなど、操作性の改善に重点が置かれたアップデートとなっている。正式発表されたWWDC 2010の基調講演においても、企業向け機能のアピールは控えめであり、実際にiOS 4を試してもフォトジェニックな機能は見当たらないが、見直すべきところは見直すといった印象の機能強化が施されている。次ページで、特筆すべき箇所をピックアップしてみよう。