Linuxはコンピューティング世界の「ファブリック」
Linuxの技術カンファレンス「LinuxCon Japan Tokyo 2010」が、9月27日から29日の日程で開催された。カンファレンスでは、世界中からLinuxカーネルや周辺技術の開発責任者、著名エンジニアが集まり、3日間にわたって合計70以上のセッションが催され、Linux関連技術の詳細や最新動向が議論された。
その初日、およそ300人の参加者が会場に詰めかけた中で、Linux FoundationのエグゼクティブディレクターであるJim Zemlin氏がイベントの開幕を告げるとともに「Ubiquitous Linux: The New Computing Fabric」と題した基調講演に登壇した。
「いまやLinuxは、OSだけにとどまらず、将来のコンピューティングの土台を構築する重要な要素となっている。そして、それはLinuxにとっての新時代であるとともにIT産業における新しい時代の始まりでもある」――講演の冒頭、Zemlin氏はこう語った。
Zemlin氏はその背景として、IT産業の過去を振り返り「Microsoftは非常にシンプルなビジョンを掲げて事業をスタートした。それはすなわち、“全てのデスクや家庭におけるコンピュータをWindowsで稼働させる”というビジョンであり、以来、Microsoftが主導してPCの進化をけん引し、それをほぼ達成した。しかし、今やPCだけでなく、さまざまなデバイスがネットワークに接続する時代になった。そして、その種類は今後さらに増加し、多岐にわたっていくことは必至だ。これによって、Microsoftが築いた時代が終わり、新たなLinuxの時代が始まった」と説明した。
Linuxの利用は現在、証券取引所や航空管制システム、スーパーコンピュータ、スマートグリッド、自動車、交通システムなどの重要インフラ、情報家電、モバイルデバイスなど多岐にわたっており、それらにとって欠かせないものとなっている。
Zemlin氏は、いわばLinuxはコンピューティングの世界の「ファブリック」(織物、生地)として機能してきており、Linuxが、新時代に掲げるビジョンもネットワークにつながる全てのデバイスに導入されることだという。