「セキュリティは製品を選ぶことではない。脅威が常に変化している今、企業はパートナーを選ばなければならないのだ」──2月15日に開催された2008年度トレンドマイクロ戦略発表会において、トレンドマイクロ代表取締役社長兼CEOのEva Chen氏はこう述べ、2008年度の戦略「Digital Enterprise Protection Strategy」を推進していくことを強調した。
コンテンツセキュリティでNo.1になる
消費者のネット利用が進むにつれ、企業の顧客アプローチもインターネットを介したものが増えているとChen氏。このアプローチに気付いているのは何も企業だけではなく、クラッカーも同じだと指摘する。
Digital Enterprise Protectionとは、こうしたネットを活用した事業や、情報資産を保護することにある。Chen氏はDigital Enterprise Protectionを提供する企業には、セキュリティに事業を集中しているベンダで、最高のセキュリティを提供できる企業であることが条件だと語る。また、「デジタル資産をスタートアップに任せておけるでしょうか?」と問いかけ、これまでの実績も重要であると指摘している。
Chen氏はもちろん、トレンドマイクロこそがDigital Enterpriseを保護する企業であると言う。何故、トレンドマイクロなのか。それは20年に渡りセキュリティに集中して取り組んできた専業ベンダであること、そして一貫して変わらずにコンテンツセキュリティに取り組んできたことを挙げている。
また、「成長エンジンとしてのセキュリティ」との位置付けも強調している。情報漏えいや正規サイトの改ざんにより企業価値が損なわれる事態が発生していることを挙げながら、トレンドマイクロこそ企業が成長するための原動力になるセキュリティ企業であると自信をみせている。
新サービス投入でサービス化を推進
発表会ではトレンドマイクロ日本代表の大三川彰彦氏が日本における戦略を説明。サービスビジネスのさらなる推進と、事業領域の拡大という2本柱で成長を持続させたい考えを示した。
トレンドマイクロはサービスビジネス推進に向けた基盤整備の一環として昨年、東京都内にリージョナルトレンドラボを設置している。今年はリージョナルトレンドラボを軸にサービス事業を強化したい考えで、本日、顧客の環境を24時間365日体制で監視する「Expert on Guard」を3月1日から提供することを発表している。
また、企業ネットワーク内におけるウイルス感染の予防やセキュリティに関わるアドバイスを提供する自己免疫型ソリューションを、今年第2四半期にサービスとして提供する予定。「ビジネスコンテニュイティソリューションともいえる」(大三川氏)サービスとなる。そのほか、新たなコンサルティングサービスと教育サービスの提供も、今年第3四半期までに提供したい考えだ。
事業領域の拡大では、昨年買収したProvilla製品を投入し、情報漏えい対策分野に参入する意向を示した。また今後、様々なデバイスのセキュリティ対策も拡大する。トレンドマイクロは昨年、工作機械メーカーであるオークマと連携し、NC装置へのウイルス対策テクノロジーの組み込みや、ソニーのゲーム機PLAYSTATION 3へのURLフィルタリングおよびWebレピュテーション機能の提供など、この分野での取り組みは熱心。大三川代表は企業向けのウイルス対策ソフト「ウイルスバスター コーポレートエディション」とスマートフォンを連携させるなどして、携帯電話のセキュリティ分野にも参入することを名言した。
大三川代表はこの2つの柱を「全てパートナーとともに展開していく」ことを強調。サービスビジネスを今後3年間で事業の柱にすること、そして中長期的な成長分野の開拓として事業領域の拡大に取り組むと語った。