Kaspersky Labがモスクワで開催中の「International Press Tour」は、4日を「Business Day」として3本の講演を行なった。ここでは、2本目の講演となる、同社のCOO、Eugene Buyakin氏の講演の模様を紹介する。
Kaspersky Labの経営面での責任を負うCOOのEugene Buyakin氏は、「New Dimensions of Kaspersky Lab: reshaping the industry landscape」と題して講演を行なった。同氏は、経営責任者の視点でKaspersky Labとセキュリティ業界の「新次元」について語っている。
2006年には、Symantec、McAfee、トレンドマイクロのいわゆる「Big 3」が業界をリードしていたが、2008年にはKaspersky Labが4%のシェアを獲得して3位のトレンドマイクロに肉薄。「Big 4」の時代になったと強調する。
また、同社は2009年の利益目標として「60%成長」を見込んでいるが、これはセキュリティ業界の典型的な成長見込みが10〜12%という水準であることに比べて大幅に高い目標。ここ数年の同社の成長率の高さを踏まえたものとなっている。
同氏は、経営戦略として同社が重視するポイントを、「第1に技術(Technology)、2番目がパートナー、3番目がブランド、4番目が各国市場への適応力(Adaptability)」だと紹介し、技術力を武器に高い成長率を維持していくという方針を明確にしている。同氏は同社の技術開発投資は全体の30%にも達するとも語っている。
さらに、現在のKaspersky Labの売り上げ構成は、コンシューマ市場が55%、エンタープライズ市場が35%、他社への技術ライセンス供与が10%だと明らかにした。同氏は、Kaspersky Labの過去の成長が、まず技術ライセンスで達成され、次いで現在はコンシューマビジネスで大きく伸びている段階だと位置づけた上で、次の成長をエンタープライズ市場で起こすことを目指すと語った。
これに関連し、エンタープライズ市場では株式公開企業のほうが信頼を得やすいことから、将来的なIPO(株式公開)も選択肢として検討していることも明かしている。ただし、現時点での市況ではIPOを急ぐ理由はないとの認識も示しており、中長期的なテーマであることを伺わせた。
同氏は最後に、今後の同社の成長の可能性について、「Kaspersky Labはスケールアップ/スケールアウトの両面の戦略により、変化し続ける市場において今後も継続的な成長を遂げる」と語り、自信を示した。