日立グループのCSIRT(Computer Security Incident Response Team)であるHitachi Incident Response Team(HIRT)は12月12日、インターネットユーザーのファイル交換ソフト利用状況や意識に関する調査の結果を発表した。
この調査は9月18日から9月26日にかけて、ウェブアンケート方式により実施されたもの。有効回答者数は2万189人。
調査結果によると、ファイル交換ソフトを現在利用しているとした回答者は10.3%で、2007年度の9.6%から増加している。利用しているファイル交換ソフトは、「Winny」(28.4%)、「Limewire」(18.3%)、「Cabos」(15.1%)、「WinMX」(10.3%)、「Share」(10.2%)の順となった。2007年度の結果と比較すると、WinMXの利用率が約5%低下した一方、Cabosの利用率がわずかに増えてWinMXとの順位が入れ替わっている。
ファイル交換ソフトを利用している利用者の96.6%は自宅のPCを利用していた。職場や学校のPCを使っている人の割合は10.7%と、2007年度の7.4%より増えた。一方、「自宅では仕事をしない」と答えた利用者は2007年度の57.7%から70.7%と大幅に増加している。
これは、近年の情報漏えい事故を受けて導入された、職場でのセキュリティルール徹底や持ち出し対策が一定の効果をあげているためだと考えられる。
ファイル交換ソフトの利用意識では、「情報漏えいがかなり心配である」と答えている現在利用者が17.0%、「少し心配である」と答えている現在利用者は49.7%となり、半数以上がファイル交換ソフトを介した情報漏えいに不安を持っていた。
また過去にファイル交換ソフトを利用していた人がやめた理由として、情報流出への懸念を挙げた人が34.2%と最も多かった。一方、職場や学校でファイル交換ソフトの利用が禁止されたことを理由として挙げた人は3.3%にとどまっている。
ファイル交換ソフトを利用している人のセキュリティ対策としては、ウイルス対策ソフトの利用が最も多く80.4%であった。これは2007年度の72.3%から増加している。一方で、「何もセキュリティ対策をしていない」と答えている利用者は10.1%で、2007年度とほとんど変わっていない。
ファイル交換ソフトを介してウイルスをダウンロードした経験がある利用者の割合は45.5%。このうち、実際にウイルスに感染したことがあると答えた利用者は17.3%おり、感染者の53.2%は「1年以内に感染した」と答えた。また、ウイルスのダウンロード経験を「わからない」と答えている人が16.9%おり、潜在的な感染者も存在していると思われる。
ファイル交換ソフトによって流出ファイルをダウンロードした経験は、利用者の24.1%が「ある」と答えており、2007年度の16.0%から増加した。また、4.1%が実際に流出したと思われるファイルをアップロードしたと答え、ファイル交換ソフトの利用目的として「流出ファイルのダウンロード」を挙げた利用者が3.3%いた。
HIRTでは調査結果を受け、今後はファイル交換ネットワーク上のウイルスや流出ファイルといった、悪意あるコンテンツの流通を防止する技術的対策をとる必要があるとしている。