あるLinuxプログラマが14日、ドイツで行なわれたGNU GPL (General Public License)の遵守に関する訴訟で勝訴したと発表した。GPLはフリー/オープンソース業界における数多くのプロジェクトで利用されている。
ミュンヘンの地方裁判所は12日、多目的セキュリティ機器メーカーのFortinetに対し、原告のHarald Welteが開発に携わったLinuxコンポーネント「initrd」を含む製品の販売を禁止する、仮差し止め命令を下した。
WelteはLinuxプログラマであると同時に、GPL Violationsプロジェクトと呼ばれる活動を行っている人物でもある。同プロジェクトは、GPLが適用されたソフトウェアを組み込んだ製品を販売する企業に対し、ライセンス条件を遵守するよう呼びかけている。GPLの下では、誰でも無料でGPLソフトを自社製品に使用できる一方、そのような製品を販売する際に、GPLコンポーネントの基本部分に当たるソースコードを公開することが義務付けられている。
今回の訴訟は、オープンソースソフトがコンピュータ業界においていかに容易かつ広範囲に普及するかを明らかにした一方で、企業にとって、共同プログラミングアプローチの根底にある新たな法的概念への対応がますます困難になりつつある現状を浮き彫りにした。
カリフォルニア州サニーベールに拠点を置くFortinetは、この問題に対処するとしながらも、Welteが法的手段に訴えたことに驚きを隠さなかった。
Fortinetは声明の中で、「Fortinetは先頃、Welteが(GPLを遵守していない企業を)非難していることを知り、この問題をドイツの法廷制度外で解決するために、熱心にWelteと連携を図ってきた。Fortinetは、自社製品が間違いなくGPLの要求事項に準拠するように、積極的に様々な措置を講じてきた。従ってFortinetは、Welteがドイツの裁判所に仮差し止め命令を申請したことに驚いている。裁判所への申請は不用な行動であったとわれわれは確信している」と述べ、さらに「Fortinetは引き続きWelteと共に、迅速な問題解決を目指す」と付け加えた。
Welteは、企業がオープンソースソフトを利用することに反対しているわけではなく、適切な利用を望んでいるだけだと述べる。Welteは、法的手段に訴える前に、まず企業に警告を発しているという。GPL Violationsプロジェクトは声明の中で、Fortinetのケースでは、3月17日に同社に対し警告を行ったが、「裁判所外での交渉では、迅速な和解が達成できなかった」と語った。
Welteは3月に、世界最大級のIT見本市CeBitに出展した複数の企業に対し、Fortinetに送ったのと同じ内容の書簡を送付した。またWelteは1年前に、今回のFortinetに対する訴訟と同様の訴訟で、Sitecomに対する勝訴判決を勝ち取っている。
同プロジェクトによると、Fortinetは、同社のFortiGateやFortiWiFiといった製品に組み込まれているオペレーティングシステムでLinuxを使用しているという。「FortiOSには、Linuxカーネルのほか、GNU GPLに基づいてライセンス供与されているフリーソフトウェア製品が多数使用されている。(しかし)Fortinetはこの事実を公表しなかった」とGPL Violationsプロジェクトは述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ