GPL大幅改訂--「バージョン3」の草案、来週公開に

文:Stephen Shankland(CNET News.com)
編集校正:坂和敏(編集部)

2006-01-12 12:38

 オープンソースのプログラムを支えるGPL(General Public License)に大幅な改訂が加えられており、来週にはその詳細が発表されることになっているが、この動きが長期にわたる激しい論争に火を付けると見られている。

 Free Software Foundation(FSF)によると、同グループは1月16日に、マサチューセッツ工科大学(MIT)で開催される「第1回GPLv3国際会議(the First Conference on GPLv3)」において、「GPLバージョン3」の最初の草案について詳細を発表する予定だという。

 FSFの設立者であるRichard Stallmanは、1991年に現行の「GPLバージョン2」を発表した。それ以来、GPLバージョン2はLinux、Samba、MySQLなど無数のオープンソースプロジェクトに利用されてきた。GPLの新バージョンは過去15年間に発生した数多くの技術的問題に対応できるようになることが期待されている。これには特許やリモートサーバーで動作するソフトウェアの問題などが含まれる。

 GPLは多大な影響力を持つ。これは法的文書であるだけでなく、フリーソフトウェアおよびその派生物であるオープンソース・ムーブメントのマニフェストでもある。

 「GPLは非常に重要だ」とボストンの法律事務所Bromberg & Sunsteinの知的所有権弁護士、Tom Careyは言う。「ソフトウェア分野で活発に活動している法律家は、ほとんどがGPLを読み、その要点を記憶している。他のライセンスでそこまでされているものは1つもない」(Carey)

 GPLでは、根本的な部分でいくつかの自由--つまり、あるプログラムの基底にあるソースコードの閲覧や複製、変更、配布の自由が認められている。

 しかし、プログラムに変更を加え、その修正版を配布する場合、GPLでは修正したソースコードを公開する必要がある。それに対し、たとえばApacheに適用されているBSD系のライセンスなど他のオープンソースライセンスには、このような条項は存在しない。そのため、これらのオープンソースプロジェクトでは成果物をプロプライエタリなものとすることも可能になる。

修正のスケジュール  FSFは、一般への草案発表後に、いくつかの重要なプロセスを計画している。まず、6月中を期限として第2の討議草案を作成する。さらに、GPLバージョン3は早ければ9月にも発表される可能性があるが、FSFのスケジュールでは10月までに第3の討議草案を作成することも認められている。

 さらに、FSFではGPLバージョン3を2007年1月15日までに完成させたいと考えているが、スケジュール上の期限は2007年3月となっている。

 Stallmanは以前に行われたインタビューのなかで、、新しいGPLでは次のような問題に取り組むと述べていた。

・GPLソフトウェアプロジェクトを「特許武装した著作権侵害者」から保護する条項。たとえば、GPLソフトウェアが自社の特許を侵害したとして提訴する会社に対し、GPLソフトウェアの使用を禁じる罰則が用意される可能性がある。

・ソフトウェアの自由を奪うデジタル著作権管理(DRM)制限機能を搭載したデバイス上でGPLソフトウェアの使用を抑制する仕組み。

・インターネット上での一般向けサービスの提供に使われるサーバでのGPLソフトウェアの利用を管理するメカニズム。これは、GPLソフトウェアが組織のなかで利用されているのか、外部に配布されているのかが明確でない部分だ。GPLソフトウェアに対する修正は、そのソフトウェアが配布される場合に限り公表する必要がある。

 たとえば、GPLが適用されるプログラムは、オンライン地図作成サービスなどでの利用に先立ってカスタマイズされる場合がある。

・GPLとフリーソフトウェアもしくはオープンソースソフトウェアライセンスとの互換性を高める修正。

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