マサチューセッツ州ケンブリッジ発--Free Software Foundation(FSF)の創設者であるRichard Stallmanは米国時間17日、現地で開催された公開討論会において、GNU General Public License(GPL)に関し提案されていた変更について議論した。同氏は、特許紛争からユーザーを保護するというGPLの本分は、今後も維持されると述べている。
GPLは、今ではLinuxを含む数多くの無料オープンソースソフトウェアで利用されるようになっている。その第1版を作ったのがStallmanだ。米国時間16日には、FSFがGPLバージョン3のドラフト文書をリリースしている。15年ぶりのメジャーリリースとなるバージョン3は、Stallmanと、FSFの法律顧問Eben Moglenが共同で起草した。
GPLのアップデートをめぐる議論は1年は続くと考えられているが、マサチューセッツ工科大学で米国時間17日に開かれたこの討論会は、そうした過程の第一歩となるものだ。FSFは、変更提案の理由についても文書で発表している。
GPLの第3版は、ソフトウェア特許訴訟からユーザーを守り、GPLソフトウェアでデジタル著作権管理(DRM)技術が使用されるのを防ぐ目的で作られた。GPLバージョン3には、独自に改良を施したGPLソフトウェアに関して特許侵害訴訟を提起している組織が、それを利用するのを禁止する、「特許報復」条項も盛り込まれている。
Stallmanは討論会参加者からも意見を募ったが、ソフトウェア特許に対するGPLの基本姿勢は第3版でも変更しないと明言した。Moglenはこの問題に関するフィードバックを広く求めているものの、GPLバージョン3にはソフトウェア特許に基づく訴訟を阻止する明らかな意図があると、Stallmanは述べている。
「第3版はこれまでのGPLに取って代わるものではない。より優れた提案がなされない限り、今後はこれを運用していくつもりでいる」(Stallman)
FSFは提案理由書の中で、ソフトウェアに特許法を適用することを強く非難し、「浅はかで無分別な行為」だとしている。
「ソフトウェア特許は、プロプライエタリソフトウェアやカスタムソフトウェアばかりでなく、あらゆるフリーソフトウェアプロジェクトをも脅かしている。プログラムに関係のない人物が所有するソフトウェア特許によって、さまざまなプログラムが打撃を受けたり、損なわれたりする可能性がある」と、FSFの理由文書には記されている。
Stallmanは、オープンソース開発者から複数のトピックに関して細かな法的質問を受けた。質問は、ライセンスの互換性、特許報復条項、商標や、Linuxを搭載する携帯電話など、GPLソフトウェアと非GPLソフトウェアが連携する際に起こる問題についてのものだった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ