ボストン発--Xenというオープンソースのソフトウェアパッケージは、ほんの数カ月前まではほとんど知られていなかった。だが、そのXenがいま多くのコンピュータ関連企業から支持を受け、にわかに注目を集める存在となっている。
Xenを使えば、同一コンピュータ上で複数のOSを同時に動かせるため、単一システムを最大限に有効活用できるようになる。このような技術はハイエンドのサーバでは珍しくないが、それ以外のシステムではVMwareが提供するプロプライエタリな「仮想化」ソフトウェアが必要となる。
先週当地で開催されたLinuxWorld Conference and Expoでは、数多くの企業がXenのサポートを表明した。これらの企業のなかには、Sun Microsystems、Hewlett-Packard(HP)、Novell、Red Hat、Intel、Advanced Micro Devices(AMD)、Voltaireなどの各社が名を連ねているが、なかでも興味深いのはIBMだろう。同社は何十年にもわたって、この分野の製品を出してきているからだ。
「2、3カ月前は誰も注目していなかった。しかし、これだけ多くの企業から支持を得たことで、XenはLinuxの使い方に大きな変化をもたらすだろう」と、Novell傘下のSUSE Linuxで研究/開発担当バイスプレジデントを務めるChris Schlaegerは述べている。
この変化は、オープンソースソフトウェアの世界でどんなことが起こり得るかを示す最良の例といえる。つまり、ひとつのプロジェクトが引き金となり、それに興味を示す複数の団体間で協力がはじまるということだ。また、Linuxのようにプロジェクトがうまく進めば、こうした協力関係がひとつのプロジェクトへと急速に発展し、プロプライエタリで互換性のない競合製品が乱立する事態を避けられる。
「オープンソースコミュニティはついに互いの違いを乗り越え、1つの仮想化プロジェクトを支持することになった。これで、このプロジェクトは必ず実現するだろう」とIlluminataのアナリスト、Gordon Haffは述べている。
XenSourceという新興企業の創業者で、同プロジェクトのリーダーを務めるIan Prattによると、Xenは3年前、英国のケンブリッジ大学で開発が始まったものだという。Xenの開発とサポートを行う同社では、同ソフトウェアをコンピュータの標準機能にしようとしている。「どのLinuxにも搭載されることが、この目標実現に向けた第1ステップとなる」(Pratt)
同一のコンピュータを複数のパーティションに分割して使うXenなどのアプローチは、仮想化と呼ばれるコンセプトを利用しており、ハードウェアをシミュレートしたソフトウェア上でプログラムを動かすことが可能だ。VMwareの場合、この土台の部分はバーチャルマシンと呼ばれている。
ただし、VMwareとXenには大きな違いが1つある。VMwareではマシンを完全にシミュレートし、理屈の上ではどんなOSでも修正せずにバーチャルマシン上で動かせる。それに対してXenでは、性能の上では勝るもののOSの修正が必要な「準仮想化」のアプローチを採用している、とPrattは説明する。
しかし、同氏によると、より上位のソフトウェアは修正する必要がないという。
OSへの修正が必要な点は、今年IntelからVanderpool Technology(VT)が登場すれば解決するだろうとPrattはいう。VTによって、動作速度が遅くなりはするものの、修正を加えていないOS上でもXenが動作するようになる。そうなれば、Windows自体に手を加えることはできなくても、Xen上でWindowsを動かせるようになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。