Microsoftは現在、同社とオープンソースソフトウェアの愛憎関係を示す典型例とも言えるような動きを見せている。それは、オープンソース製品との相互運用性を拡大し、開発者をWindowsにひきつけようという取り組みだ。
2005年12月、MicrosoftはNXTと呼ばれる試験的プログラムを導入した。LinuxやUnixなどのMicrosoft以外の技術を使う独立系ソフトウェア会社(ISV)が、自社製品をMicrosoftのOS用に変えるのを簡単にするためのプログラムだ。
Microsoftのパートナー企業が運営するこのNXTプログラムは、ソフトウェア開発サポート、技術説明、テスト、マーケティング活動のための資金集めといった面でISVを支援する。Microsoft広報担当者によると、同プログラムはまだ試験段階にあると言う。
Microsoftのプラットフォーム戦略技術担当マネージャーのBill Hilf氏は、同社のOpen Source Software LabとNXTプログラムの目的には全く矛盾はないと言う。Hilf氏は、オープンソースソフトウェアをMicrosoft製品と融合させる研究を行う同研究所の責任者だ。
同氏はZDNet Asiaの電話インタビューに応じ、「NXTプログラムが、研究所に矛盾するとは思わない。なぜなら、NXTプログラムは自社の製品をLinuxやUnixプラットフォーム以外の形で提供したいと考えているISVだけをターゲットにしているからだ」と語った。
一方で、研究所はJBossなどのオープンソースソフトウェアメーカーの製品をMicrosoftプラットフォーム上で動くようにすることに重点を置いていると言う。「例えば、JBossとはよく協力している。しかし特定の分野で協力企業と競合することもある。それは競争と協力の関係だ」(Hilf氏)
「やがてオープンソース市場が成熟し商用化が進むにつれ、こういった動きを目にする機会が増えると思う。それはMicrosoftに限られたことではない」とHilf氏は言う。同氏によると、IBMやOracleもオープンソースソフトウェアメーカーと競合しながら協力していると言う。
Microsoftは、研究所の仕事の認知度を、オープンソースコミュニティのなかで上げるために、2006年4月にボストンで行われたLinuxWorldにて「Port 25」というウェブサイトを発表した。