Linux大手Red Hatは、既存の仮想化戦略に競合するというよりは補完するための、組み込みハイパーバイザ製品を開発していることを明らかにした。
米国時間6月18日にボストンで開幕した年次会議Red Hat Summitの初日、同社は「Embedded Linux Hypervisor」を発表した。ただし同製品は現在ベータテスト中で、出荷時期や顧客にどういう形で提供されるかといった詳細はまだ決まっていないという。
「これは最初のLinuxベースで完全なオープンソースのハイパーバイザだ。われわれは今回の発表を、企業全体に仮想化を拡張するための1つの方法と考えている」と、Red Hatの製品および技術部門のプレジデント、Paul Cormier氏は語った。「これは次世代OSだ。われわれは仮想化とOSを同じパッケージとして語るべきだ」
Embedded Linux Hypervisorは、2006年以来Linuxカーネルに統合されている「Kernel-Based Virtual Machine(KVM)」プロジェクトをベースにしている。KVMは仮想マシンをリアルタイムでシステムからシステムへ移動させるライブマイグレーション機能をサポートし、高可用性を提供する、とRed Hatは説明している。
Red Hatはこれまで、現在では買収によって「Citrix」製品となっている、オープンソース技術「Xen」を仮想化の中心に据えてきた。同社の主力となる企業向けLinux製品「Red Hat Enterprise Linux 5(RHEL 5)」には、Xenをベースとした仮想化技術が統合されている。
KVMベースの仮想化ハイパーバイザの発表は、Red Hatが将来のXenとの関係を限定されたものと見ていることの表れか、という質問に対してRed Hat幹部は、仮想化タスクを管理する方法として複数の選択肢を顧客に提供するため、同社は両方の技術に積極的に対応していくと述べた。
Red Hatはまた、Embedded Linux Hypervisorを例えば次期版RHELに統合するかどうかなど、顧客への提供方法はまだ決めていないと説明している。同社によると、現在のところ、ベータ版はoVirtのウェブサイトからダウンロードできる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ