日本NCRは9月17日、販売時点情報管理(Point Of Sale:POS)システム端末向けカード決済アプリケーション「NCR RealGate Payment」が国際セキュリティ基準である「PABP」の認定を取得したことを発表した。日本国内では初となるとしている。
PABP(Payment Application Best Practice)は、POSベンダーがPOSアプリケーションを開発する際に、カード情報セキュリティの国際基準である「PCIデータセキュリティ基準」(Payment Card Industry Data Security Standard:PCIDSS)に則って開発された、安全な決済アプリケーション開発を支援するためのベストプラクティスの集合体を指している。加盟店のカード情報を安全に保護するために、クレジットカードの大手ブランドVISA Internationalが開発した。
POS端末にカード磁気情報などの重要な情報をできないように焦点があてられているPABPの認定を取得した決済アプリケーションは、情報流出のリスクを最小化できるとされる。そうした決済アプリケーションを搭載したPOS端末を利用することで、クレジットカードの加盟店はPCIDSSの順守活動に取り組んでいることをアピールできることになる。
今回、PABPの認定を取得したNCR RealGate Paymentは、既存のPOSアプリケーションとは分離独立して、カード決済に関する部分をパッケージ化したソフトウェア。日本NCRでは、自社で提供するPOS端末のほかに今後の新規需要が見込まれるセルフレジ、情報キオスク端末などのセルフサービス機器の分野の製品にも導入していく。
日本NCRの今回の認定取得では、ビザ・インターナショナルが認定取得プロセスを提供し、認定審査機関としてNTTデータ・セキュリティがコンサルティングや認定監査などの支援作業を行っている。
米国では、物理的なクレジットカードやレシートの盗難・紛失以上にカード情報の漏洩が問題となっている。そのため、VISAカードに新規に加盟する際には、小売り業者は決済アプリケーション導入では2008年からPABP対応が必須になっている。日本の場合、改正割賦販売法が6月に改正され、カード情報漏洩に関する罰則規定が含まれている。このため、ビザ・インターナショナルでは、加盟店に対して米国と同様にPABP認定済み決済アプリケーション導入を順次求めていくとしている。
NTTデータ・セキュリティでは、国際的なクレジットカードが加盟する推進協議団体である「PCIDSS国際協議会」(Payment Card Industry Security Standards Council:PCISSC)公認の監査会社(Qualified Security Assessor:QSA)として、クレジットカード会社の加盟店や決済データセンターに対してPCIDSSに基づいた監査と認定を展開している。同社では、POSシステムからのカード情報漏洩に対する対策としてPABPが有効として、現時点で国内唯一の決済アプリケーションセキュリティ認定企業(Qualified Payment Application Security Company:QPASC)として、NCR RealGate Paymentで日本初の審査・準拠支援を行った。
PABPはもともとVISA Internationalが開発したものだが、この4月にPCISSCに移管され、国際クレジットカードの共通基準になっている。米国では、2010年7月までに全加盟店でのPOSアプリケーションをPABP対応にすることが義務付けられている。
日本NCRでは、同社の既存顧客向けに2万台、新規の顧客向けに1万台、計3万台を目標にNCR RealGate Paymentの導入を働きかけていくとしている。