日本NCRは2月21日、日本市場における2006年度の総括および2007年度の戦略についてプレス向けに紹介する説明会を開催した。ちなみに、米国本社であるNCR Corporationは、売り上げが前年比1.9%増の61億4200万ドル、NPOI(Non-Pension Operating Income)は前年比10.4%増の6億1800万ドル、引き続き好調な利益率と発表している。
日本NCRの業績は、特に2002年以降に大きく下降線をたどっていたが、流通システム事業および金融システム事業が好調で2桁成長を達成したことから、2006年は売り上げ、利益共にV字回復。売り上げは、対前年比5%増の約500億円となり、グローバルな売り上げの7%を担っている。
日本NCRの代表取締役社長兼CEOである細井英樹氏は、「ここ数年は、右下下がりの年が続いていたが、2007年は成長軌道に乗っている。引き続き、“Focus&Speed”を戦略テーマとし、年率で5%成長、売り上げで対前年比8%増を目指す」と話す。
「さらなる成長を目指すには、成長分野、堅調を維持する分野、クオリティを追求する分野など、事業部門ごとにフォーカスする分野を明確化することが必要だ。また、カントリーモデルを継続し、意志決定のますますの迅速化を目指したい」(細井氏)
テラデータ事業、流通システム事業、金融システム事業、システム・メディア事業、カスタマーサービス事業の5つの事業における個別のビジネス展開は、次のとおり。
まず、テラデータ事業では、大規模企業向けソリューションであるエンタープライズデータウェアハウス(EDW)戦略を継続するほか、情報のリアルタイムな活用を実現するアクティブデータウェアハウス(ADW)を推進する。また、メガメジャーアカウントを攻略するためのパートナービジネスも引き続き推進していく。
ただしテラデータ事業は、米国本社が2007年1月8日付けで同事業部の分割を今後6〜9カ月で完了することを発表しており、日本法人でも米国本社の動向を見ながら分社化に向けた取り組みを推進する計画だ。日本市場におけるテラデータ事業の売り上げは、売り上げ全体の30%を占めるという。
次に流通システム事業では2006年秋以降に大手チェーンで本格展開を開始したセルフレジシステム「FastLane」事業をさらに加速。現在、50店舗200台が、複数の大手スーパーチェーンの一部店舗に導入されているが、これらの全店展開を目指すという。これにより、日本市場におけるセルフレジマーケットにおけるナンバーワンの地位を目指す。さらに、POSから基幹系システムまで総合ソリューションを提供する基幹系システム(OSS)ビジネスも大手百貨店グループに展開する。
そのほか、金融システム事業では、統合イメージ処理/統合与信ソリューションや国際業務システム、統合コンタクトセンターに注力するほか、システム・メディア事業では、用度品管理業務受託サービス「NCR On-Line Solution」や高島屋の婦人服売り場で展開しているRFIDビジネスを他社にも拡充、カスタマーサービス事業では、顧客のニーズにあった高品質なサービスを提供し、運用監視サービスやシステムのアウトソーシングなどに注力する。
細井氏は、「常に“進化を求めて変化する”(NCR創業者であるJohn Henry Patterson氏の言葉)ことを追求し、ITを通じて顧客企業の価値創造に貢献していきたい」と話している。