日本NCRは2月9日、同社の2006年度における展望や事業戦略などをプレス向けに紹介する説明会を開催。売り上げを対前年比で7%増加させるほか、テラデータ事業および流通システム事業のより一層の成長に向けた戦略などを明らかにした。
NCR Corporationでは現在、Teradataデータウェアハウス事業をはじめ、リテールストアオートメーション事業、ファイナンシャルセルフサービス事業、システムメディア事業、カスタマーサービス事業の5つのビジネスユニットをワールドワイドで展開。年間60億2800万ドルを売り上げている。
2005年8月にCEOに就任したWilliam(Bill)Nuti氏は、生産性の向上とコスト構造の継続的な改革による競争力の強化、収益の伴った成長、顧客のビジネスへの徹底的なフォーカスによる価値の向上の3つをビジョンとして掲げ、NCRの変革に取り組んでいる。
- 「日本ではテラデータ事業と流通事業に注力。早期に日本の売り上げを全世界の10%にしたい」と日本NCRの細井社長。
日本市場においても5つのビジネスユニットに基づいたビジネスを展開していくことに変わりはないが、2006年は「特にテラデータ事業および流通システム事業に注力していく」と日本NCRの代表取締役社長、細井英樹氏は話している。
日本NCRでは2005年に、さらなる成長に向けたインフラ整備と先行投資を実施。テラデータ事業および金融システム事業で売り上げ高2桁の成長を実現したほか、流通システム事業の拡大に向けた開発投資、インフラ部門の整備による生産性の向上などの取り組みにより、「全世界の売り上げの8%を達成した」(細井氏)としている。
「2006年は、“Focus&Speed”を戦略テーマに、売上高で対前年比7%増を目指す。新しいCEOからも期待されているとおり、日本市場のビジネスを早期に全世界の売り上げの10%に成長させることを目指している。そのためには、成長を追求する事業とクオリティを追求する事業を明確にすることが重要になる」(細井氏)
具体的な取り組みとしては、まずテラデータ事業においてエンタープライズデータウェアハウス(EDW)戦略を徹底するほかメガメジャーに向けた積極的なアプローチ、さらなる協業の推進をキービジネスとして展開する。
たとえば、EDW戦略統括部を新たに設立し、EDWによりもたらされる価値を業界ごとに訴求するほか、パートナー企業との協力関係を強化することで、パートナー販売の比率を2005年の25%から35%に拡大することを目指している。さらに細井氏は、「早い時期にパートナー販売の比率を50%にまで拡大したい」と話している。
また流通システム事業では、2005年より7社でパイロット導入を進めているセルフレジシステム「NCR FastLane」を量販店、大型スーパーマーケット、ホームセンターなどに向けて本格展開していくほか、単なるPOSシステムでなく経営戦略の実現や経営課題の解決に貢献できる基幹系システム構築の確立に向けた取り組みを展開していく。
さらに金融システム事業では、手形や小切手をイメージデータとして処理したり与信/融資業務の効率化を実現する「ペイメントソリューション」やオープンシステムをベースに他システムの連係機能を強化した「国際業務システム(CBS:Core Banking System)ソリューション」、次世代crm基盤によりコンタクトセンターの効率化を促進する統合コンタクトセンター(CIS:Customer Interaction Service)ソリューションの3つのソリューションに注力する。
そのほかシステムメディア本部では、用度品管理業務受託サービスである「NCR On-Line Solution」の金融機関向けの展開を加速するほか、RFIDビジネスの確立、製品群の見直しやグローバル調達の促進によるコスト構造の改善などに取り組む。カスタマーサービス事業は、日本市場にフォーカスしたサービスビジネスの強化やパートナーとのコラボレーションの拡大、オペレーションモデルの進化による生産性の向上などに取り組んでいく計画だ。
細井氏は、「NCRの創業者であるJohn H. Pattersonが好んで引用した言葉に“We Progress Through Change(変化を求めて進化する)”という言葉がある。この精神を忘れず日本NCRも常に革新を続けていきたい」と話している。