りそなグループは、日本で第4位の金融グループだ。総資産は38兆9000億円を有し、巨大な規模を維持しつつも、地域に根ざした中小企業や個人にも強いというのが特長となっている。
グループの中核であるりそな銀行では、営業力強化を目的に顧客接点の拡大のためにさまざまな施策をおこなっている。そして、仮説、検証マーケティングの実践や営業現場のノウハウの活用、顧客データの共有といった要求に対し、顧客データを用いたデータベースマーケティングが重要な位置を占めてきている。
競争激化のなか必須となる顧客データの活用
顧客データの活用という要望は、いまに始まったことではない。すでに情報系の仕組みは、基幹系のホストの上に構築されていた。しかしながら、検索性能やツールの使いやすさなどの面で、決して満足いくものではなかった。そんな中、1998年にマーケティング用のMCIF(Marketing Customer Information File)システムを導入することになる。MCIFは、個人を中心とした顧客データのデータウェアハウスであり、現状は2000万件を超えるデータがそこで管理されている。
「導入当時、個人部門やリテールバンキングの強化が課題の1つでした。これらの分野は攻め口が難しく、さらに金融危機のさなか渉外担当の営業部隊を十分確保できないなどの状況もありました。なんとかして、営業力を強化する必要があったのです。またそのころは、各銀行がコールセンター提供しテレフォンバンキングサービスが始まった時期でもあります」と当時を振り返るのは、りそな銀行コンシューマーバンキング部グループリーダーの牧野克彦氏。
「コールセンターを活用した営業活動では、マーケティング観点のさまざまなデータが必要になります。たとえば、アウトバンド用の顧客リストであるとか、プロモーション結果の分析などです」(牧野氏)。このような背景の中、顧客データの一元管理を実現するMCIFシステムが導入された。
当時は、ホスト上に構築されていた分析や検索環境は、単なるレポートを作るには問題はないのだが、マーケティング的な検索や分析には、性能的にも機能的にも使い勝手がいいとはいえなかった。さまざまな制約があり、たとえば何十万件を対象に検索を実行すると、1日経っても答えが返ってこないというものだった。
「当時でも稼働ベースで数百万の口座がありました。これらの口座の、全体像を掴みたかったのです。しかしながら、実際には口座データすべてを分析対象にはできず、100分の1くらいに縮小しなければまともな検索ができませんでした。そんな中で、Teradataに出会ったのです。Teradataの検索性能を目の当たりにし、こんなに早いのかと感動すらしました」と牧野氏。
この圧倒的な検索性能が、Teradataの採用につながったということだ。システムの導入にあたり、5つくらいの製品について比較、検討をおこなった。検索性能以外には、検索ツールの使いやすさも評価尺度となった。ここでもTeradataは、評価が高かったという。さらに、インフラとなる並列コンピュータの実績も、Teradataが選択された大きな理由のひとつだ。
検索、分析の速度と柔軟性で現場の要望に対応する
Teradataの導入後は、分析環境が大きく改善された。必要なデータを手に入れたり分析をするのにあった制限が、取り除かれたのだ。たとえば、かつてのホスト上のシステムでは「検索は1人2件まで」などの制限があり、とても自由な分析などおこなえなかった。現在は、100を超えるユーザーがアカウントを持ち、Teradataのシステムに直接アクセスしている。
性能面の改善だけでなく、さまざまなデータが瞬時に取り出せるようになったメリットも大きい。住宅ローンの証券化というニーズがでてきたときにも、データウェアハウスが活躍した。住宅ローンの証券化には、関連するさまざまなデータを揃えなければならない。
Teradataでは瞬時にデータを集められるので、証券化の時間の大幅な短縮が可能となったのだ。また、他行との競争が激化するなか、いまでは当たり前となった借り換えローンをはじめて採用したのもりそな銀行の前身である旧あさひ銀行だった。その際のリスク管理にも、このシステムが役に立ったという。