国内ITベンダー大手5社は12月22日、ソフトウェアの信頼性や安全性を向上させるために「ディペンダブル・ソフトウェア・フォーラム(Dependable Software Forum:DSF)」を発足させたことを発表した。
DSFに参加するのは、NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所、東芝の5社と国立情報学研究所。DSFでは、障害を起こさないソフトウェアの生成を実現するために、故障や攻撃の発生を予防する「回避」、故障の数や攻撃の程度を減少させるための「除去」、「耐障害性」という3つの観点からの研究開発を展開して、ソフトウェアに起因するシステム障害の低減を目指す。
最初の取り組みとして、“ディペンダブル・ソフトウェア”を実現する有力な手段として注目される「形式手法」に着目した「形式手法適用評価ワーキンググループ(Formal Method Application Working Group:FMAWG)」を立ち上げる。
形式手法は、品質の高いソフトウェアを効率よく開発するために、数学を基盤とした矛盾のない仕様書を書いて、それが正しいかどうかを検証する手法。FMAWGは、形式手法の産業界への普及と定着を目指して、形式手法に関する実績やノウハウを持つ企業や個人、団体による議論や知識を共有して、共同で成果物を構築することを推進するとしている。
DSFは、FMAWGを立ち上げるほかに適宜新しいWGを立ち上げて研究を進める予定としている。2012年3月末をメドに成果物を構築して公開することを目指す。
ディペンダブル・ソフトウェアは、信頼性や安全性の向上を目指すソフトウェアの考え方であり、今後のソフトウェアのあるべき姿として注目されている。欧米や中国では、高信頼なソフトウェア開発の応用研究に国家的な規模で戦略的に取り組んでいるという。インドでも、ディペンダブル・ソフトウェアを実現する人材の育成に注力していると言われる。
日本では従来、ソフトウェアを開発する企業が独自に研究を進めてきているが、今回5社を中心に共同検討での迅速な対応手段の確立と業界全体への普及展開を目指すことで合意して、DSFを発足させたとしている。