サンフランシスコ発--Red Hatは、Linux OSを中核としたビジネスをさらに拡大するために、パートナー企業のオープンソースソフトウェアを販売する「Red Hat Exchange」(RHX)というサービスを2007年中に開始しようとしている。
Red Hatが米国時間3月14日に発表したこのサービスを機に、MicrosoftやIBM、Oracleといったプロプライエタリソフトウェア企業との競合、およびオープンソース企業との提携関係はともに新たな局面を迎えることになる。RHXは、Red Hatの持つブランド力と顧客とのチャネルを活かすことで、より広範なオープンソース選択肢を市場にもたらすことを目的としている。
Red Hatのエンジニアリング担当エグゼクティブバイスプレジデントであるPaul Cormier氏が、当地で開催されている「Red Hat Enterprise Linux 5」(RHEL 5)の発表のためのイベントで述べたところによると、Red Hatは、OracleやIBMといった同社のビジネスパートナーとの競争が激しくなるとわかっていながらもこのアプローチを選択したという。
「われわれは、こういったオープンソーステクノロジの足を引っ張るか、それを推し進める側に立つかを選択することができる。われわれは後者を選択するということだ」(Cormier氏)
RHXのパートナー企業であるAlfrescoのマーケティング担当バイスプレジデントであるMatt Asay氏によれば、RHXはRed Hatによるより包括的なアプローチの一環だという。なお、Alfrescoの製品は、EMCが保有しているプロプライエタリなドキュメント管理ソフトウェアDocumentumと競合している。
Asay氏は「これは、Red Hatをオープンソースにおけるエコシステムのハブとするうえでの大きな一歩だ。同社がハブとなることは適切だと思う」と述べるとともに、「私は、Red Hatが何年も前に発揮すべきだったリーダーシップをやっと発揮し始めたととらえている。つい数カ月前まで、(Red Hatは)オープンソース企業かプロプライエタリ企業かにかかわらず、Red Hat以外のものすべてと敵対するような行動をとっていた」と述べている。
また、オープンソースのデータベースを提供しているMySQLの製品担当エグゼクティブバイスプレジデントであるZack Urlocker氏によると、Red Hatの今回の動きはMySQLにとってチャンスだという。
Urlocker氏は、「RHXは優れた証明書のような働きをする。それによって、MySQLは認定されており、RHEL上でテスト、動作確認が行われたということが示されることになる。そしてRHELは、われわれにとって格段に重要なプラットフォームとなる」と述べるとともに、「そしてわれわれはRHXによって、Red Hatの顧客層に対してより幅広く、より直接的に浸透していくことができるようになる」と述べている。
RHXに参加するその他のオープンソースソフトウェア企業としては、Enterprise DB、JasperSoft、SugarCRM、Zenoss、Zimbra、Zmanda、Compiere、Groundwork Open Source、Centric CRMがある。
RHXのディレクターであるMatt Mattox氏によれば、RHXでは、企業は複数のオープンソースアプリケーションに対するサポートをサブスクリプション形式で購入できるようになる。Red Hatはソフトウェア販売、サポートの提供、ソフトウェアアップデートの配布を同社のRed Hat Networkを通じて行うことになるという。