FireEye、セキュリティ対策の新しい仕組みを発表--同業他社と提携

田中好伸 (編集部)

2013-03-05 16:59

 ファイア・アイは3月5日、セキュリティ対策の新しい仕組みを発表した。同社は2012年6月に米FireEyeの日本法人として設立された。

 今回の仕組みは、同社の「Multi-Vector Virtual Execution(MVX)エンジン」と「Dynamic Threat Intelligence(DTI)クラウド」とパートナー企業の連携で構築される。MVXエンジンは、画像やスクリプトなどウェブのデータや疑わしいファイル、モバイルアプリなどを仮想環境で実行して、常に最新のサイバー攻撃を検出、確認する。

 MVXエンジンは、シグネチャに頼らずに攻撃経路に適用することで、疑わしいコードを検出し、フォレンジック分析を自動化する。特定組織に対して向けられた攻撃の情報を動的に生成できる。これらの情報を特定組織向けに相関分析することで、持続的標的型攻撃(APT攻撃)で活用される侵入手法をブロックできると説明している。

 DTIクラウドを契約したユーザー企業は、新しい犯罪手法やAPT攻撃、マルウェアの感染拡大に関する脅威の情報を匿名化した上で共有できる。これらの情報を共有することで、世界各地で行われている攻撃を、その発生状況とともに把握して、DTIクラウドのユーザー企業全体のセキュリティを最新の防御機能で強化して、被害が生じる前に攻撃を無力化できると説明している。

 パートナー企業は、FireEyeのAPIを使用してネットワークの可視化、エンドポイントの検証、ポリシー適用を実現できるという。FireEyeが公開を予定している、標準規格に基づいた脅威情報のメタデータ交換フォーマットを活用することで、FireEyeとサードパーティーのセキュリティ対策技術を相互運用する。

 このメタデータフォーマットには、MVXエンジンで取得されたマルウェアの属性や活動、フォレンジックの情報が記録されている。ユーザー企業は、社内の現行のセキュリティ基盤を有効活用して、セキュリティの投資対効果(ROI)を向上させられるとメリットを説明している。

 パートナー企業が参画するプログラム「FireEye Global Industry Alliances」は、ベンダー間の相互運用性をサポートし、FireEyeの技術に基づいて、これからの脅威への対策となる基盤を実現するための取り組み。プログラムは主に以下の4つの分野で構成される。

  • 境界:既存のネットワークゲートウェイを利用してポリシーを適用し、データベースやファイルサーバといった機密情報にアクセスを制限するなど、エンドポイントをきめ細かく隔離できるようにする。この分野ではA10 Networks、Blue Coat Systems、Bradford Networks、Juniper Networks、Netronomeなどが参加している
  • 監視(Security Information and Event Management:SIEM):統合レポートやエンタープライズセキュリティ統合といった機能がベンダーから提供される。HP ArcSight、IBM Q1 Labs、RSA、Splunkなどが含まれる。ネットワークアグリゲーションとフルパケットキャプチャのベンダーからは、導入オプションや状況を踏まえた分析オプションが提供される。パートナーはGigamon、Ixia Anue、RSA NetWitness、Solera Networks、VSS Monitoringなど
  • エンドポイント:クライアントやサーバなどのエンドポイントの可視化や検証、修復の機能が提供される。Mandiant、Bit9、Guidance、McAfee、Sophosなどが含まれる
  • マネージド・セキュリティ・サービス・プロバイダー(MSSP):MSSPのパートナーからマルウェアについての専門的なサービスが提供される。ユーザー企業が自ら所有、管理することで発生する複雑さやコストが軽減されるという。Dell SecureWorksやSolutionaryなどが含まれる

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