セキュリティの分野では、予想には意味がない。常に猛烈な勢いで創造的な攻撃手法や脆弱性が現れてくる。一方で、疑いを持たない(あるいは単に愚かな)ユーザーはハッカーを助けることになる。これらはすべて分かっていることだ。しかし、あれば嬉しいものをいくつか挙げることはできる。
私の2008年の欲しいもののリストは、次の通りだ。
新しいQuickTime。セキュリティに関しては、QuickTimeがザルだということは認めなくてはならない。一方で、QuickTimeはどこにでもある。Appleには2つの選択肢がある。欠陥に追いつく努力をし、QuickTimeにパッチを当て続けるか、それともQuickTimeを作り直すかだ。AppleはQuickTimeに繰り返しパッチを当て続けるよりも、やり直しを始めるべきだ。新しい機能?誰も気にしないだろう。とにかくQuickTimeを安全なものにするのだ。
ウェブ2.0のセキュリティを真剣に考えること。共有APIは偉大だ。ソーシャルネットワーキング機能はすばらしい。ウェブ2.0にはいいところがたくさんある。しかし、これらの技術が企業に進出するにつれて、これらのコンポジットウェブアプリケーションはもっと安全になる必要がある。IBMはいわゆるエンタープライズ2.0のポリシーに対する含意について熟考している。読者もそうすべきだ。
単一文化に終止符を打つ。あらゆるIT企業は戦略の中に「多様性」という言葉を組み込んでおくべきだ。コストを削減しようとして、マネージャーは責めるべき相手を絞り、インフラ技術を単純化し、相手にするベンダを絞り込む(Microsoft、Oracle、SAP)。もし核となるソフトウェアがハックされたらどうなるだろうか。単一文化の問題は、Windowsにもっとも顕著に見られる。多様なオペレーティングシステムを持つことが重要だ。LinuxとAppleのOSXをWindowsに散りばめておくことだ。メンテナンスの要件が複雑になる?そうかも知れない。しかし、セキュリティ上の利点は確かにある。
データ流出に本物の罰則を。2007年はデータ流出の年であり、TJXの事件はその中でもとりわけ目立っていた。TJXはこの件でかなり大きな支出を行ったが、ウォール街は概して同社を免罪している。同じ店舗の売上も下がっていないことから、顧客が逃げ出したということもないようだ。このシナリオは繰り返されている。この状況を変えなくてはならない。これを言いたくはないのだが、規制が解決策になるかもしれない。とにかく、経営者が顧客のデータを守ることを真剣に考えることはないからだ--もちろん、実際に流出が起こらなければの話だが。データ流出が起こった際のコストは上がってきているが、まだ企業の振る舞いを変えるほどではないようだ。
ソフトウェアの更新やクラップウェア(PCにプレインストールされている不要なソフトウェア)のセキュリティ脆弱性に真面目に取り組むPCメーカー。HPは自社のラップトップに組み込まれたSoftware Update機能に多くのセキュリティホールを抱えてきた。次はDellの番になる。ハッカーは、顧客サポートを自動化したり、ソフトウェア企業からのプレインストールに対する対価を増やそうとして、インストールしているソフトウェアを増やしつつあるハードウェアメーカーを目標にすることが多くなると考えられる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ