会員数210万人、扱っている商品のサプライヤー数は2000社を超え、国内でも大規模な通信販売サイト「ネットプライス」を運営するネットプライスドットコム。同社では、社内コミュニケーションの手段としてメッセンジャーを利用していたが、その代わりになるのではないかと「Salesforce Chatter」の導入に踏み切ったという。
ネットプライスドットコム グループソリューション本部 インフラ開発チーム リーダーの鈴木貞治氏は、「メッセンジャーは便利だが、企業が利用するコミュニケーション手段としては課題もあった」と説明する。
たとえば、メッセンジャーでは詳細なログが取得できない。また、基本メッセンジャーは1対1のコミュニケーションのため、メッセンジャーで何かを依頼した場合、担当者1名のみに内容が伝わり、他の関係者が気づかないまま対応が遅れるといったこともあった。それがChatterのつぶやきであれば、公開した形で情報が伝達できる上、発言はSalesforce.comのサーバ上にきちんと蓄積される。この仕組みであれば、メッセンジャーの課題が解決できると判断したのだ。
そもそもChatterに興味を持ったのは、システム担当者ではなくマネージメント層だった。国内でChatterのプライベートベータプログラムが始まると発表された際、社内でこういった仕組みを活用できないかという話がマネージメント層から持ち上がったのだ。それを受け、5月にはいち早くシステム部門にChatterを導入し、使い勝手を評価した。ソリューション本部 システム開発チーム アプリケーションデザイナーの冨樫利名氏は「最初はわけもわからず、ただ雑談するだけだった」と振り返る。とはいえ、結果的にはコミュニケーション手段として問題はないと判断し、6月に全社展開に踏み切った。
社長が自らつぶやきコミュニケーションを活性化
Chatterの全社展開を開始したものの、当初はつぶやきが公開されることで一部ユーザーには抵抗感もあり、あまり利用は活性化しなかったという。その状況を一変させたのは、同社 代表取締役社長 兼 グループCEOの佐藤輝英氏だった。もともと佐藤氏は、何らかの方法で社員全員にメッセージを伝えたいと考えていた。その方法にChatterを利用することにしたのだ。
佐藤氏は、Chatter上で全社員が所属する「全社グループ」にて、社長のつぶやきを開始した。と同時に、佐藤氏は全社員をChatterでフォローしたのだ。社長のメッセージを受け取るためにも、社員はChatterを常にチェックするようになった。これをきっかけに、多くの社員がChatterの利用に積極的になる。
社長自らほぼ毎日つぶやくようになり、自然とChatterを利用する雰囲気が社内にできあがってきた。とはいえ現状では、ほぼ全員がChatterのつぶやきを見てはいるものの、積極的に発言する人は限られているのも事実だ。中でも、全社員に向けたグループで発言するのはマネージメント層が中心だという。一方で、組織を横断したプロジェクト単位などでいくつかグループができており、その中では活発なコミュニケーションが図られているという。