久々にインドへ行った。今回はインドのソフトウェア業協会(NASSCOM)の主催する「India Leadership Forum」の日本セッションにて講演するためである。
このフォーラムは今年で18回目を迎える歴史あるカンファレンスで、インドのITサービス業を取り巻く課題を、インドの主要IT企業をはじめ、その顧客たる海外の一流企業からもマネジメント層を集めて開催される。今年は特に、グローバルな経済環境の悪化の中でITサービス業の取り組むべき課題が議論の中心となった。
とは言え、インドのIT産業はいち早く回復基調にあり、日経ネットによれば、2009年10〜12月期からインドIT大手は増収増益基調へ復帰している。2月11日付けの地元紙「THE TIMES OF INDIA」によれば、Tata Consultancy Services(TCS)は、2011年度には世界で3万人を採用する計画であると発表している。
うち70%は新卒で、30%は中途採用であると言う。同社の2009年12月末時点での社員数が14万9000人だというから、2011年末には社員数が20万人を突破しそうな勢いである。ちなみに、NTTデータの2009年3月末における連結ベースの社員数が3万1739人である。
ただし、TCSの2009年度売上高約4389億円(1ルピー=2円で換算)を、アニュアルレポートにある従業員数である14万3000人で割ると、1人あたりの売上高は300万円程度に過ぎない。一方、経済産業省の特定サービス産業実態調査(2008年)にある日本のソフトウェア産業の売上高11兆4655億円を、同産業への従事者数55万5125人で割ると、日本のソフトウェア産業は1人あたりの売上高がおよそ2000万円であることが分かる。
ここで、インドのIT企業をまだまだと思うのは大きな間違いで、彼らは、この単価で欧米のIT企業から仕事を奪い続けているのである。故にAccentureも、2010年にはインドの従業員を8000人追加して5万人にすると言っているのだ(これも同じくTHE TIMES OF INDIAより)。
しかしながら、先のTCSでも2009年度の日本からの売り上げは、全体のわずか1.2%程度に過ぎない。世界第2位の経済大国と言われながらも、オフショア開発そのものの規模がまだ小さい上に、そのほとんどが中国へ向かっているのが現実である。
私が講演を行うこととなったセッションは、特定の国にフォーカスを当てたカントリートラックの一つで、ブラジル、コロンビア、オーストラリア、イギリスなどと並び、日本を対象としたセッションが設けられたものである。議論の中心は、インドのIT企業が日本でのビジネスを拡大するにはどうすれば良いのかに尽きる。
間違いなく言葉や文化の問題はいまだに大きなハードルとして存在するが、日本の労働人口が今後減少していくこと、日本企業そのものがグローバル経済の中でITを駆使していく必要があることを考えると、今後インドのIT企業が日本において、ビジネスを拡大する余地は十分にあるのではないだろうか。今回の講演を機会として、微力ながらも両国間のビジネスの拡大に貢献していきたい。当カンファレンスでスピーカーがプレゼンとしてもらったハンドメイドの絵画を掲載しよう。
飯田哲夫(Tetsuo Iida)
電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。1992年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。
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