電気コンセントがネットワークの入り口になるPLC
2006年末に家電量販店で「PLCモデム」なる通信機器を目にするようになった。
このPLC(Power Line Communication)は「高速電力線通信」「高速電力線搬送通信」などと呼ばれるもので、文字通り一般に使われている電気(電力線)に情報を乗せてデータ通信を行う技術である。
電力は、関東では50Hz、関西では60Hz、つまりそれぞれ1秒間に50、または60の波となって流れてくる。この波は、信号としては遅くて大きい波である。コンピュータなどのデータ信号は非常に高周波で、波長も短い。この速さも大きさも異なる信号波を電力線を使って一緒に送る技術がPLCである。
PLCには屋外利用と屋内利用の2種類があり、屋外利用では電力会社の電力網を活用して屋内まで通信信号を伝送する。一方の屋内利用では、屋内の電力線を用いて、各部屋に通信信号を伝送する。
PLCのメリットは、電気の配線やコンセントがそのまま情報の経路や窓口になることから、新たにケーブルを配線しなくても家の隅々までネットワークを構築でき、電源プラグをコンセントに挿すだけで、そのネットワークに接続できることだ。従って、複数のパソコンをつなぐ家庭内LANとして使うだけでなく、テレビやHDDレコーダ、パソコンの間で高品質な画像をやりとりするといった場面でも使える。また、すでに一部で実用化されていたことだが、センサーと組み合わせて照明やエアコンなどの電気製品や住宅設備機器を制御するために使うこともできる。
“高速”電力線通信と呼ばれるようになったわけ
電力線通信自体は、実は昔から使われていた技術である。
例えば、電力会社は、配電自動化システムや遠隔検針システム、遠隔異動処理システムと呼ばれるシステムで電力線通信を利用してきた。こうした分野では、数kHz以下の周波数を使い、数十bps程度の伝送速度しか実現していなかった。そうした従来の方式では、大容量通信に対応するのは難しかったため、主に監視や制御を目的とした低速度の通信に利用されてきたのである。
これを高速化して適用範囲を広げるために、技術革新によって高度な電力線通信方式が提案されてきた。電力線線路の特性は無線線路に類似していることから、無線通信などで開発された技術を電力線通信へ適用する方法が一般的になり、PLC機器を開発するメーカーの多くはOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)と呼ばれる変調方式を電力線通信方式に適用することにより、高速かつ大容量の通信を実現するようになった。
OFDM変調方式は「直交周波数分割多重」と訳され、無線LAN通信のIEEE802.11a/b/gのほか、中距離無線アクセスのWiMAXや地上デジタル放送にも使われている変調方式だ。こうして電力線通信は、2M〜30MHzの高周波帯の電気信号を使い、最高数十M〜200Mbps程度の通信を実現できるようになった。
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