Microsoftが開発したWindows以外のオペレーティングシステム(OS)がどのようなものか、見てみたいですか?
非営利の学術的な「Shared Source」ライセンスに署名したいと思っていて、それができるなら、もう探すのはやめよう。Microsoftは米国時間3月4日、同社のCodePlexサイトからダウンロードできる数十万種の「Singularity Version 1」のソースコードを提供し始めた。Microsoftはこのことをレドモンドにおいて開催されたMicrosoft Research TechFest 2008で発表した。
Singularityとは、完全にマネッジドコードで開発されたOSと、それに関連したツールとライブラリである。SingularityはWindowsをベースにしていない。これは概念実証(POF)として最初から作成された。
「30年前の技術に基づき構築されたようなOSを作成しないことに決めたのだ」とプリンシパルリサーチャーのGalen Hunt氏は述べた。
昨年遅く、MicrosoftはSingularityのソースコード(同社はこれを研究開発キット(RDK)と呼んでいる)を10数人のアカデミックパートナーに公開した。今では誰でもこのコードのライセンスを取得することができる(ただしこれは主として学術関係者や研究者を対象としている)。
「既存のOSは修正が困難である」とリサーチエリアマネージャーのJames Larus氏はいう。「Linuxやわれわれが提供するWindowsカーネルさえそうだ。Singularityは研究者がOSに変更を加える(遊ぶ)には適した場所である。」(Larus氏)
Singularityは「C#」言語で作成されているため、他の非マネッジドOSより分析が容易であると、Microsoftの研究者らは主張している。Singularityはまた、ソフトウェア隔離プロセス(SIP:software-isolated process)の結果が、過去30〜40年に開発された多くのOSが採用するハードウェア保護スキームと比べて性能オーバーヘッドが少ないことを示す手段ともなっている。Singularityの開発者は、SIPはパフォーマンスで30%もの節減が可能であると考えている。
そのようなわけでSingularityが初リリースされた今、Microsoftの開発者は次に何をするのだろうか?主として異種、マルチコアのコンピューティング環境に注力した「Singularity Version 2」であると、Lazrus氏とHunt氏は述べている。
現代と次世代のPCや機器は、マルチコアで異種の命令セットやアーキテクチャを取り入れる方向に動いている。Microsoftは将来のマルチコア革命に注力したいくつかのプロジェクトに着手している。
「同じプログラミングモデルで(これら全てのコアに)アクセスできるようにしたいのだ」とLarus氏は述べている。複数のSingularityカーネルが異なるコア上で動作することを考えてみてほしい。
これに補足すると、Singularityの研究者たちは、並行してエラーを探し出す機能といった新ツールやマルチコアプログラムに取り組んでいる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ