読者が「Aibo」や相撲ロボットは面白くて可愛いが、企業ソフトウェアの世界とは無関係だと思っているビジネスユーザーなら、この先を読んで頂きたい。
米国時間4月9日、Microsoftは3回目のロボット工学ツールキットである「Microsoft Robotics Developer Studio 2008」の最初のテストリリースを提供した。このWindowsベースの開発環境の最終バージョンは、ロボティクスプログラムを作成したいという学者、愛好家、その他のプログラマーを対象として、今年末までにリリースの予定だ。
Microsoft Robotics Studioツールキットの現バージョン(1.5)は20万件以上ダウンロードされたと、同社のRobotics Group担当ジェネラルマネージャーを務めるTandy Trower氏はいう。そのなかにはSAP、Siemens、MySpaceといった企業名もかなりの数がみられたという。Trower氏によると、これらの企業はロボットを組み立てているのではなく、同ロボティクスツールキットに含まれる他の要素に関心があるのだという。
「メール処理、金融トレーディング、科学的モデリング」やその他のビジネスアプリケーションに対する「企業分野での関心がみられる」とTrower氏は述べている。
企業はMicrosoft Robotics Studioにマルチコアの分散システムに適した技術が含まれていることを発見した。とくに企業は、同ロボティクスツールキットに現在組み込まれている並列協調実行環境(CCR:concurrency and coordination runtime)や分散ソフトウェアサービス(DSS:decentralized software services)ランタイムに関心を示していると、Trower氏はいう。これらのランタイムは進化するマルチコア/分散プログラミングモデルの一部であり、Microsoftやその他のITベンダーが多額の資金や開発労力を投じ始めている。
Trower氏のチームは、分散された統合言語クエリ(LINQ)へのサポートを組み込むことで、同ツールキットの次期バージョンの分散コンピューテーション能力を改善したと同氏は述べている。Microsoftの9日のプレスリリースによると「これによりネットワーク利用を削減し、サービス作成を簡易化する」という。
「Microsoft Robotics Studioでは、Microsoftで作成されている新しいプログラミングモデルをみることができる」とTrower氏はいう。
Microsoftの開発者部門は、考案中のパラレルフレームワークにCCRライブラリを統合するプロセスの最中である(しかし具体的に「Parallel FX」の拡張に「.Net Framework」をというわけではない)と、Trower氏はいう。最終的にはMicrosoftはCCRを「Visual Studio」の一部分とし、さらに場合によってはCommon Language Runtime(CLR)の一部とすることも計画しているのだという。MicrosoftのMobileチームとEmbeddedチームは、CCRとDSSを各自のツールキットに統合することも予定しているという。
Trower氏によるとMySpaceはすでにCCRを利用して自社の分散ネットワークのプログラミングに役立てているという。これはMicrosoftのWeb 2.0とクラウドコンピューティングチームもこれらの技術を利用しているということなのだろうか?
「われわれは(チーフソフトウェアアーキテクトのRay)Ozzie氏とMicrosoft内の他のチームの下でクラウドべースのサービスを使って作業している」とTrower氏は述べている。「このところ、われわれの時間の半分がこれらの(内部)統合努力に費やされている。Microsoftとこれらの(サービス)プラットフォームへの統合について話し合っている。」(Trower氏)
Trower氏は、現段階ではこれ以上の詳細を打ち明けることができないとしながら、「今後数カ月内にもっと詳細が明かされる」予定だと述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ