互換性問題でXP SP3のウェブ公開延期、Vista SP1の自動配布にも影響

文:Mary Jo Foley(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:菊地千枝子

2008-05-01 12:19

 Microsoftは「Windows XP Service Pack(SP)3」をWindows UpdateとMicrosoft Download Centerから米国時間4月29日の予定通りにリリースしないという判断を下した。その理由とは?土壇場になってMicrosoftのアプリケーション「Dynamics Retail Management System(RMS)」との互換性問題が生じたためである。

 同社の広報担当者からの情報は以下のとおりだ:

 「本日予定されていた(XP SP3の)ウェブ向けリリース(RTW)について最新情報を提供したい。この数日間われわれは、Microsoft Dynamics Retail Management System(RMS)とWindows XP SP3およびWindows Vista Service Pack 1(SP1)との間で互換性問題を発見した。

 「顧客が最善の体験を得るよう確保するために、Windows XP SP3をWindows UpdateとMicrosoft Download Centerからリリースするのを延期する判断を下した。

 「顧客を保護するために、Windows Updateが両サービスパックをMicrosoft Dynamics RMSを動作させているシステムに提供するのを阻止するためのフィルタリングをまもなく設置する計画である。フィルタリングが設置された後に、Windows XP SP3をWindows UpdateとDownload Centerからリリースする予定である。

 「この問題のフィックスを提供するまで、Microsoft Dynamics RMSの顧客に対しては、いずれのサービスパックもインストールしないようにアドバイスする。Windows XP SP3またはWindows Vista SP1を動作させているMicrosoft Dynamics RMSの顧客は追加情報を得るために、Microsoft Customer Support Servicesに連絡してほしい。

 「このフィックスは現在テスト中であり、このプロセスが完了し次第提供される予定である。」

 今のところ判っているのは以上だ。MicrosoftがXP SP3をウェブ上でリリースする新たな日程は不明である。MicrosoftはXP SP3を先週製造工程向けにリリース(RTM)した――そして有料のTechNetやMicrosoft Developer Network(MSDN)の加入者による抗議をうけ、その後まもなく彼らにも同アップデートがリリースされていた。

 アップデートその1:ある読者が29日にSP3を実行ファイルへの直接リンクを経由してダウンロードしたと述べている(筆者のZDNetブログ仲間のAdrian Kingsley-Hughes氏が29日に指摘していたものだ)。Microsoftの広報担当者によると、同社はこのようなことを行わないようにユーザーにアドバイスしているという。公式な回答は以下のとおりだ:

 「顧客はMicrosoftのソフトウェアを、非Microsoftウェブサイトに掲載されているリンクからダウンロードすべきでない。このケースのように、リンクが実行ファイルに直接差し向けられている場合である。顧客は常にMicrosoft.comのページからダウンロードすべき。そこには全ての関連したダウンロードの詳細、インストレーションの説明、リリースメモが提供されている。今回の特定のケースについては、一部の第三者ウェブサイトが、わが社がMSDNとTechNet加入者のために公開したWindows XP SP3ソフトウェアにリンクを張っている可能性がある。わが社としては、第三者が提供するリンクのソースをすべて確認することはできないため、顧客にはWindows XP SP3がWindows UpdateとDownload Centerから公開されるまで待つことをお薦めする。」

 白状すると、MicrosoftがRMSを理由にSP3のリリースを遅らせる判断を下したことにはいささか驚いている。RMSとは中小規模ユーザー用の小売チェーン管理アプリケーションである。筆者はこれを使っているという顧客をほとんど知らない。

 アップデートその2:このRMSの不具合の結果、Microsoftは一時的にやはり影響を受けたVista SP1のAutomatic Downloadも中止することになった。しかし同社はVista SP1のDownload CenterまたはWindows Updateからの提供は中止しない。

 Microsoftの広報担当者より:

 「MicrosoftはWindows Vista SP1を追加的な自動配布を一時的に中止する。しかし同社はWindows Vista SP1をWindows Update経由での双方向のインストレーション用には提供し続ける。Microsoft Dynamics RMSを動作させている顧客にはSP1をインストールすべきではないと薦めているが、ほかにもWindows Vista SP1をただちにインストーすることで便益を受ける顧客が多数いるために、WU経由での提供は維持する。」

 Microsoftが一時的にVista SP1をAutomatic Updates経由で配布するのを中止したのは初めてのことではない。同社は今年に入り、一部のVistaユーザーにとって同サービスパックの「pre-requisite」が問題を引き起こした際にも同じ措置を採っている

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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