米国時間5月3日にMicrosoftがYahooの買収を断念したことが発表されたが、このことをおそらく多くの人が、Yahooの勝利とMicrosoftの最高経営責任者(CEO)であるSteve Ballmer氏と同社の敗北と描くことになるだろう。筆者はどうかって?これはMicrosoftが成しうる最も賢明な動きであったとみている。
実にMicrosoftが手を引く判断を下したことは、筆者の同社に対する将来的な信頼を回復するものであるとまで言おう。(アップデート:筆者だけではないようだ。一例として、Mini-Microsoftも目下この提携が頓挫したことを祝うためにCol Solareワインを味わっている。)
Microsoftが440億ドルでできることは、ほかにも実にたくさんある――オンライン広告市場のほか、他の非サービス中心ビジネスが堅固であるように確保することもできる。
Ballmer氏が5月3日に最高経営責任者(CEO)のJerry Yang氏に送付した書簡では、Ballmer氏はMicrosoftのオファーを、Yahooとその役員会が望むように1株あたり37ドルに引き上げるつもりはないと述べていた。Ballmer氏はまた、多くが予測するようにYahooの株価が急落したときに、再び舞い戻ってオファーをすることに関心はないようなことを述べている。また同書簡のなかには、反トラスト規制当局がGoogleとYahoo間のいずれの広告協定も必ずつぶすように Microsoftは全力で取り組むつもりだという威嚇も、あまり包み隠さずに示されていた。
アップデート:YahooのRoy Bostock会長は、Ballmer氏の書簡が発表された数時間後にこの提携が実らなかったことに関する声明を発表した:
「株主価値の最大化と、Yahoo!がその市場における成功とリーダーとして位置づける戦略的機会の追及に注力し続ける。今回のプロセスの当初から、わが独立役員会と幹部は、Microsoftのオファーがわが社の価値を過小評価しているとする信念に忠実であった。そして非常に数多くの株主がその見解の表明に加わったことに感謝している。Yahoo!の収益性は高く、成長を続けており、まだ比較的若いオンライン広告市場での大きな機会をとらえるための戦略的計画をうまく実行している。わが社の2008年第1四半期の堅実な結果と2008年全体の営業キャッシュフローの見通しが改善したことは、同社の進歩を反映している。」
最初からずっと、小生をはじめとする多くのMicrosoftウォッチャーが、MicrosoftとYahooの間には重複する点が多すぎると指摘していた。Yahooのオープンソースベースのプラットフォームと戦略は、MicrosoftのWindows中心の戦略と組み合わせるのは間違いなく困難なこととなったであろう。そしてこの取引に難色を示しているのはYang氏やYahoo側のその他だけではなかった。Microsoft側にもそう考える向きがかなりいたのだ。たしかにMicrosoftはYahooの広告製品のラインアップを自社のそれと組み合わせることもできたかもしれない。そしてMicrosoftとYahooの広告ネットワークが、発行人や広告主にとってより魅力的なものとなったかもしれない。しかし本当にそれに440億ドルの価値があっただろうか?
Microsoft幹部は以前に、Web 2.0の世界では悪魔だと思われている会社と取引するように企業を説得するには、Microsoftの資金力だけでは――たとえたくさんあったとしても――十分でないことも多いと述べていた。しかし今回はMicrosoftが悪魔の帝国であるという評判が、実に悪い動きを阻止するのを助けることになった。
読者は賛成するか?そしてMicrosoftは今度、最高財務責任者(CFO)のChris Liddell氏のポケットの中で使われたくてウズウズしている440億ドルで何をすべきだろうか?
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ