MicrosoftのOne Laptop Per Child(OLPC)イニシアティブへの参画については初めから謎と偽情報であふれていた。しかし米国時間5月15日、Microsoft関係者がついにOLPCプロジェクトを正式に認めた。
これまでOLPCのトップを務めるNicholas Negroponte氏は、MicrosoftのOLPCに関する動きをことごとく事前に発表していた(それがときどきあまり正確でない場合もあった)。しかしMicrosoftとOLPCは15日に足並みを揃えて、MicrosoftがOLPCプロジェクトに「参加する」ことを発表した。
しかしここでもまた、これが正確に意味する内容がやや不透明である。Microsoftは今となってはXPがOLPC XOラップトップ上で動作できるかを何カ月にもわたりテストしている。どうやら、MicrosoftのJames Ulzshneider氏(Unlimited Potential GroupのMarketing and Communicationsジェネラルマネージャー)の新たなブログエントリによると、このテストは成功を収めたらしい。しかし今度はもっとテストが行われるように聞こえる。Ulzshneider氏による15日のブログ記事は以下の通りだ:
「本日MicrosoftとOLPCはOLPC XOコンピュータ上でWindowsをサポートすることを発表する。この2組織は来月から新興市場国において始まるいくつかのパイロットプログラムで協力し、サービスは8月か9月にRTMとなる予定だ。当初は学生のために大量のPCを購入するのを政府またはNGOが助成しているような新興市場国でのみ提供されるが、これはいずれもっと広範なチャンネルを通して他顧客にも提供される可能性もある。」
(同社の広報担当者は明らかに、これらの新トライアルは「重要な」ものであると述べていた。同氏の全声明はこうである。「Microsoftは2008年後半に広範に提供することを目的とし、1月に制限的な実地試験を開始すると12月に述べた。6月の実地試験に関する本日の発表は、重要な実地試験に関与するものである。」)
WindowsをXOにポートすることを認めたNegroponte氏の決定について、複数の元OLPCメンバーが気をもんでいた(一部は辞任した)ことは良く知られているが、そうしたなかで本日の正式発表があった。Negroponte氏がXOマシンでWindowsが完全にLinuxに取って代わることに賛同したのか否かについて多くの憶測が飛び交っていた。
筆者は前述の広報担当者にWindowsのみを搭載したOLPCが登場するのかと質問した。同氏の回答は以下の通り:
「ラップトップには政府やNGOの意向に応じて、工場では2つのオペレーティングシステム――Microsoft Windows『または』LinuxベースのSugar OSのうちひとつがインストールされる。これらのトライアルに関しては、XOはWindowsベースで出荷される。これらの選択肢に加え、将来的にはOLPCは1台のマシンに両方を備える機能を・・・開発する意向である。」
OLPCイニシアティブは政治的な争いの場となった。Linux支持者のなかには、OLPCはLinuxをマシン上で唯一入手可能なオペレーティングシステムとするように命じ、途上国においてLinuxがWindowsの優位に立つようにすべきだと提唱する者もいる。
「清潔さ」の問題は複雑である。OLPCの元Director of Security Architecture(今年3月に退任)であるIvan Krstic氏は、OLPCの舞台をめぐるWindowsとLinux間の緊張について興味深い記事を書いている。以下に筆者の目に留った同氏の13日の投稿を抜粋する:
「OLPCはそのマシンに関して理念的には清潔であるべきだ。それが莫大な数のコミュニティボランティアからの善意を利用して成功を収めようとする非利益団体であり、中心となる使命が社会の改善であるなら、担う社会責任は非常に重い。特定のベンダーの経済的インセンティブを創出する手段となるべきではない。子供たちが成長した後にWindowsがビジネスで必須となるなどというナンセンスを信じるべきではない。Windowsが必須となるのは、多くの人がWindowsとともに成長したためであり、その逆ではない。OLPCが10億人をLinuxとともに成長させれば、Linuxがビジネスにとってまさに最適なものとなるのだ。そしてOLPCは本プロジェクトのラップトップを際立たせていると考えられるまさにそのハードウェアを不自由にさせるようなOSを、唯一のOSとすべきでない:Windowsでリリースされているバージョンは、XOの消費電力管理も、フルメッシュも、また高度なディスプレイ機能もうまく活かすことができないのだ。」
MicrosoftのUlzshneider氏は当然ながら、これとは異なる見解を示している。同氏は途上国では実際に、Windowsをそのマシンに搭載することを好み、望み、要求している政府または非政府のユーザーが存在するのだと主張している。
結論:Linuxの支持者が望むか否かにかかわらず、Windows XP(さらに資源消費型のVistaではなく)は今年中にXOラップトップで登場することになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ