マイクロソフト、チューリッヒ工科大と分散型OS「Barrelfish」を開発

文:Mary Jo Foley(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:末岡洋子

2009-09-29 18:54

 Microsoftと欧州の開発者チームが、「Barrelfish」の“スナップショット”を公開した。Barrelfishは“マルチカーネル”の分散型OSプロジェクトで、Microsoftが英国に持つCambridge Research Labが開発に関わっている。

 Barrelfishは新しいプロジェクトではない。Microsoft Researchと科学技術で有名なチューリッヒ工科大学(ETH Zurich)は、少なくとも2007年より開発を進めている。だが9月14日、開発チームはテスト向けに同OSの初期バージョンを公開した


 (Barrelfishのライセンス/著作権条項はここにある。OSには、「BSD的ないくつかのオープンソースライセンスの下で配布される複数のサードパーティ製ライブラリ」が含まれているとのことだ)。開発チームはまた、「包括的(かつ、使える)リリース」は「間もなく」公開予定だとも記している。

 Microsoft Researchのウェブサイトによると、Barrelfishはマルチコア分野でMicrosoftが進めているプロジェクトの1つとのことだ。以下がプロジェクトの紹介だ。

 将来のマルチ/多数コアシステム向けのOSの構造について、模索を進めている。その背景には、2つの緊密な関係があるハードウェアトレンドがある。1つ目のトレンドは、コア数の急速な増加で、これは拡張性という新たな課題を生んでいる。2つ目のトレンドはコンピュータハードウェアの多様化で、OSが異機種混合ハードウェアリソースを管理かつ活用するという課題が生まれている。

 Microsoftとチューリッヒ工科大の研究者らは、Barrelfishの目標と設計に関するホワイトペーパーをいくつか作成しているMicrosoftは分散OSプロジェクトとして、「Midori」というプロジェクトを進めており、Midoriに着想を与えたOSプロジェクトとして「Singularity」もMicrosoft Researchのものだが、これらのホワイトペーパーの中にMidoriとSingularityの文字はない。

 だが、Barrelfishのホワイトペーパーにはいくつかの興味深い情報がある。Barrelfishプロジェクトは、Microsoftの「Dryad」、それにGoogleの「MapReduce」と関係する可能性があるのだ。DryadとMapReduceは、両社のデータセンター/クラウド戦略において重要な技術だ(Dryadについて背景を知りたい人は、私が以前書いた記事を参照のこと)。

 以下は、最新のBarrelfishホワイトペーパーからの引用だ。

MapReduceやDryadなどのデータセンターアプリケーションではマシンの集合体向けにアプリケーションが作成されており、分散システムとしてOSを組み立てることは、このようなアプリケーション向けのいくつかの人気あるプログラミングモデルとより緊密にフィットする。

 Barrelfishがサポートを予定しているリストに、ARMプロセッサがある。Microsoftの「Windows Embedded CE」はARMで動くが、他のWindowsは(少なくとも現時点では)ARMをサポートしていない。

 Barrelfishのホワイトペーパーを見たOS専門家にぜひ意見を聞いてみたい。これまで公開されているMidoriについての情報と何らかの関係があるのだろうか?気になるところだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ

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