6月までにリリースされる予定の「Office 2010」へのアップグレードは、企業ユーザーにとって楽なものではないだろうとForrester Researchは警告している。
Forresterが米国時間1月7日に発表した調査書「A Glimpse At The Best And Worst Of Office 2010」は、「数十人」もの情報ワーカーやナレッジマネジメント・プロのフィードバックを基にしたものだ。調査では、Officeには多くの「ゆっくりとした」改善はあるだろうが、潜在的課題もあるとまとめている。
Office 2010の潜在的“スピードバンプ”のセクションで、Forresterのアナリストは以下のように記している。
- 32ビット版と64ビット版の違い:「Office 2010の64ビット版は、大規模な「Excel」ワークブックなど、明白なメリットをもたらす。だが欠点もある」とForrester。その一例として、32ビット向けに書かれたActiveXコントロールとアドイン(COM)ダイナミックリンクライブラリ(DLL)は64ビットでは動かない点を挙げている。
- “一新した”VBA言語と「Office Object Model」:VBAは64ビットに対応し、Object Modelは最新版で更新される--これは、「Outlook」ユーザーに影響を与えることになる。「大規模な転換、マクロなどのカスタマイゼーションが付いたコンテンツを移行させたい顧客は、改善に時間を要することになる」とForresterは記している。
- 統合作業は「手間がかかる」かもしれない:調査書によると、「Microsoftは『Groove』を『SharePoint Workspace』として動かすために再開発する必要があったし、『Outlook Social Connector』のような新機能も加わっている。そのため、これらの機能の最初の使い勝手はシームレスなものとはいえないだろう」という。
Forresterはまた、Officeに対抗する無償製品が登場していることから、Microsoftは顧客に対し、Officeは高額なライセンス価格を払うに値するメリットをもたらすことを説得する必要がある、とも記している(Microsoftは先日、Office 2010の価格体系を明らかにしている。学生向けの99ドルのエディションもあるが、アップグレード顧客にとっては値上がりとなる。ボリュームライセンスの価格体系はまだ公開されていないが、Microsoftは小規模企業ユーザー向けにアップグレード価格割引キャンペーンを発表している)。
調査書にはこのほか、顧客の中にはOfficeと無償版を混在して使いたいと思っているところもあるという報告もある。
「Forresterが調査した企業の中に、Officeのライセンスは継続するが、補完的にGoogleやZohoなどが提供するオンラインアプリケーションに一部セグメントを移行または分割する計画があるというところが数社あった。クラウドベースの代替製品のエンタープライズ向け価格はまだ定まっていないが、大規模な実装でのユーザーあたりのコストがこれらクラウドベースの製品と対抗できるレベルと企業が実証できれば、ボリュームライセンス価格は重要になるだろう」
Office 2010のユーザーに、最新版へのアップグレードにあたり、価格と機能面での課題を聞いてみたいものだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ