アップルの「iPad」から身を守るために「Windows」がすべきことは?

文:Mary Jo Foley(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:末岡洋子

2010-02-02 07:00

 PC向けOS分野において、Microsoftの唯一の競合はAppleだ。「オール・アバウト・マイクロソフト」というタイトルのブログの筆者として、Microsoftの従業員、パートナー企業、顧客と同じように、米国時間1月27日のAppleの「iPad」発表を興味深く拝見した。

 最も興味深かったのは、Twitterやブログでの騒ぎが一段落した後、Microsoftの回答を求めるさまざまな声が挙がったことだ。Appleの動きはMicrosoftとそのパートナー企業を窮地に追い込む、とするブログやつぶやきを多数目にした。かなりの数のTwitterユーザーがMicrosoftに対し、うわさされている次世代のスレート「Courier」(開発コード)プロジェクトを進めて、iPadのインパクトを薄くすべきだと提案した。それから、Nick Carr氏の「PCは本日をもって、正式に終わりを迎えた」とする記事も出た(iPadはMacを置き換えるものではなく、AppleのPCラインアップに追加という位置づけであることを考えると、切り口がおかしい気がするのだが)。

 MicrosoftのiPadに対する「回答」は、「Windows 7」である。スレート、タブレットなど、さまざまなPCメーカーが作成した小型フォームファクタで動くWindows 7だ。多くがiPadのようにタッチ機能を提供し、生産性アプリケーションにアクセスでき、音楽、動画、電子書籍などのコンテンツを利用できるというものだ。だが、iPadとは異なり、多くがコンテンツを作成するツール、さまざまなソーシャルネットワークツールを含み、キーボードを搭載する。ネットブック--これまではApple様の注目に値しなかったようだが、iPad発表時点で最高経営責任者(CEO)のSteve Jobs氏によりiPadのライバルと位置づけられている--ですら、iPadができること(それ以上)ができるのだ。ただし、「エレガント」でもないし、高速でもないが。

 Microsoftに厳しい人--だが、Microsoft支持者の一部も--は、Windows 7はiPadへの回答としては不十分だと見ているようだ。この人たちは、中に入っているのが「Windows CE」「Windows」あるいは「Windows Mobile」だろうが、実のところ関係ないと主張している(iPadは「iPhone OS」ベースだ)。重要なのは、Windows 7はスレートのような端末向けに最適化されていないという点だ、という。確かにタッチに対応しているが、どちらかというと実験の要素が強く、ユーザーが端末とインタラクションする主要な手段としてではない。Microsoft--か、他のベンダー--は、スレート仕様にするにはWindows 7の上で動くシェル/ユーザーインターフェイスを作る必要があると主張している。

 すでにMicrosoft社内に、まさにその作業を担当するチームがあったとしても驚きではない(先日Microsoftに聞いてみたところ、話すことはなにもないとの回答をもらった)。あるいは、「Windows 8」ではUIがNUI(Natural-User-Interfaced)化され、タッチが第一級のインプット手段に格上げされるかもしれない。または、Windows Mobileチームがユーザーが本当に気に入るようなタッチ体験をいつか/もし提供すれば(「Zune」の登場、といきたいところだが)、その技術/影響はWindowsにも及ぶのではないか。

 Directions on Microsoftのアナリスト、Michael Cherry氏は、iPadを受けてMicrosoftが大きな戦略変更するとは思えないと述べている。

 「Microsoftが今後どうするか--自社ツールと言語のプッシュを続けるというのがわたしの予想だ。Windows 7であれWindows CEであれ、デバイス向けのWindowsなのだ。スタートボタン、メニュー、その他のWindow UIコンポーネントといったWindowsの要素を重要視しないことが大切だとわたしは思う」とCherry氏は言う。「『iPhone』やiPadを見たとき、わたしのようなOS中毒者でも“うわあ、Appleの『OS X』が動くあの電話が欲しい”とは思わない。TiVoを買うのは観たい番組を簡単に録音できるからであって、動いているOSを意識して買うのではない。あるWindows Mobile端末を見て、結局選ばなかった理由は、スタートメニューから機能をナビゲーションしたいと思わなかったからだ。タッチ機種ではとりわけ、不必要なステップだ」(Cherry氏)。

 以前にも書いたように、わたしはデバイスコンバージェンスという考えを支持していない。さまざまなことをそれなりにできる1台の端末を持つよりも、1つか2つのことをするのに優れた端末を複数利用したいと思っている。iPadはPCを置き換えるか?現在のiPadでは無理だろう。携帯電話?ありえない--扱いにくすぎる。電子書籍?Amazonの価格より低くして、バッテリ持続時間を改善して非バックライトの読書体験を提供することができれば。わたしのもの(New York Timesの記者のものも)ではだめだ。iPadはこれといった魅力的な目的がない端末なのだ。

 Microsoftに回答を求める声が多く寄せられているが、iPad発表に対するMicrosoft幹部およびパートナーの最大の反応は、安堵のため息だったはずだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ

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