Microsoftは2010年3月、仮想化に関していくつかの発表を行った。われわれMicrosoftウォッチャーの多くは、「Windows XP Mode」技術に加えた変更(チップレベルの仮想化要件を削除)に注目した。
だがここにきて、3月に発表されたもう1つのことにスポットがあたりつつある。米国時間7月1日より、Microsoftが「Windows Virtual Desktop Access(VDA)」という新しいライセンスを追加するのだ。Windows VDAは、Windows Client Software Assuranceではカバーされていないデバイス/マシンでWindowsの仮想コピーにアクセスするためのライセンスとなる。シンクライアント、サードパーティと契約しているPC、Windows以外のPC、スマートフォンなどがこれに該当する。
詳細はMicrosoftのウェブサイトに掲示されているが、以下に新ライセンスのコストに関する説明を抜粋する。
Windows VDAは、仮想環境におけるWindowsクライアントOSの仮想コピーライセンスとして設計されたものです。デバイスベースのサブスクリプションライセンスで、1デバイスあたり1年間100ドルで利用できます。企業や組織は複数のデスクトップを動的に作成し、ユーザーは複数の仮想マシンに同時にアクセスできます。プラットフォーム間でデスクトップ仮想マシンを動かすことも可能で、負荷分散や災害復旧などで役立ちます。
Microsoftによると、インフラプロバイダに関係なく、Windows VDAは上記のデバイスで必須となるという。
Microsoftは最新のWindows VDAを「『Enterprise Agreement』に価値を加えたい顧客の購入プロセスを簡素化する」として売り込んでいる。Burton Groupのアナリスト、Simon Branfitt氏はWindows VDAを高く評価し、Microsoftはやっと「デスクトップ仮想化を正しい方向」に向けることができたと述べている。
だが、匿名希望のMicrosoftのある顧客は、Windows VDAはコスト高になるのではないかと危惧をあらわにする。
Microsoftの既存の「Virtual Enterprise Centralized Desktop(VECD)」ライセンスは、「仮想化向きなライセンスというには程遠く、仮想デスクトップインフラ(VDI)を非現実的なものにしていた」とこの顧客は言う。Windows VDAは「回復の道としてはわずかに前進したに過ぎず、VDIの実装を正当化するには十分ではない」と続けた。
「VDIの主要な目標の1つは、ソフトウェアコストの削減だ。この目標を達成するのに、どうしてフルのWindowsクライアント(パッチなどの管理が必要)を要求するのかわからない」とこの顧客は言う。「3年間でWindows Client SAのコストはざっくり、100ドル+40ドル+40ドル+40ドル=220ドルになる。5年で300ドルだ。VDAの価格は3年で300ドル、5年で500ドルだ。Microsoftはどうして、SA付きのWindowsのコピーを購入し、そのライセンスをシンクライアントに適用できるようにしてくれないのだろうか」。
MicrosoftにWindows VDAについて聞いてみたが、まだ返事はない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ