NGN(次世代ネットワーク)特集の第3回となる今回は、富士通のソリューションをとりあげる。同社は、人とビジネスをつなぐ「Network as a Service」をコンセプトに、顧客のニーズに最適化できるネットワーク基盤を提供。その一環として、キャリアから回線を仕入れ、専用線サービスやIP-VPN、広域イーサネット、セキュリティなどの付加価値を加えて再販するマルチキャリアネットワークサービスの「FENICS」を提供している。
富士通が構想するNGN
富士通は、NGNを次のようにとらえている。まず、インターネット、次世代ワイヤレスネットワーク、光ブロードバンド、一般加入電話回線など、さまざまなネットワークが相互に連携して機能すること。そして、既存インフラを生かしつつ、最新のニーズを取り入れて進化する性質を持つこと。また、ユーザーがいつでも、どこでも、快適に使えるネットワークであることだ。
富士通 テレコム事業推進室長の林完自氏は、「ネットワールドはリアルワールドの写像だ。つまり、ICT(情報通信技術)の進化は、実社会の変革を起こし、写像範囲を拡大させる」と語る。その中で富士通が取り組んでいるビジネスについて同氏は、「キャリアに対し、通信サービス基盤や通信インフラを構築するビジネスと、ネットワークのユーザーに対し、コンテンツやアプリケーション、ユビキタス端末、そしてサービスまでを提供するビジネスを展開している」と説明する。
各事業者のニーズに合ったサービスを
富士通は、NTTやKDDIといった国内キャリアはもちろん、米国のAT&TやVerizon Communications、英国のBritish Telecom(BT)などに通信サービス基盤や通信インフラの構築サービスを提供している。各キャリアのNGNへの取り組み方は様々だが、富士通はそれぞれのキャリアに最適な通信インフラを提供しようとしている。
例えば国内では、NTTが光ブロードバンドとIP電話を同時に展開しようとする中、KDDIはモバイル通信サービスのauを軸にFMBC(固定、移動、放送を連携しやすくする構想)を推進する。富士通はこうしたキャリアに向け、光アクセス、パケット転送、イーサネットアグリゲーションなどの製品群を提供することで、通信インフラの高度化に貢献していく。「国内の顧客は品質に対して非常に厳しいため、日本ベンダーは鍛えられている」と林氏。
また、「Super 3G」に対応する次世代基地局システムの調達において、富士通はNTTドコモより試作機を単独で受注しており、現在も共同でシステムの開発に取り組んでいる。