2月1日に、東京カンファレンスセンター・品川で開催された、「MIJSカンファレンス Japan 2007」。そのビジネス&システム構築トラックでは、「メイドイン・ジャパンからの視点 激論!着地するSOA、見えてきた日本型実装」をテーマに、海外有力ベンダーのキーマン、およびMIJS会員によるパネルディスカッションが行われた。SOAに一家言をもつ面々の発言から、日本にSOAを根付かせるための本質が見えてきた。
6割のスクラッチ開発が3割まで減少?
冒頭、モデレータを務めたアイティメディア代表取締役会長の藤村厚夫氏は、「日本企業に新たな波がやってきている。ひとつは、大競争の時代の到来。もうひとつは内部統制を含む、新たな法制施行が近づいてきたこと。かつて無いほど、透明性や説明責任の高いシステムの運用が求められるようになる時代が到来した」と語り、新たな時代の業務連携、システム連携、アプリケーション連携において、SOAをどのようにして企業に根付かせるのかというテーマで話し合いたいと述べた。
そこで、MIJSとアイティメディアが共同で実施したアンケートの中の、「業務アプリケーションの構築形態」に関する調査結果が示された(図1)。現状は、スクラッチ開発の採用率が6割以上を占めているが、今後の予測では、スクラッチ開発が3割まで減少し、パッケージ製品を組み合わせたBest of Breed型の支持が過半数を占めるとなっている。
この結果を受けて、マイクロソフトの執行役でデベロッパー&プラットフォーム統轄本部長の鈴木協一郎氏は、「今後、業務を取り巻く変化は加速し、スクラッチ開発ではそのスピードに対応できない。経営ニーズとIT基盤とのギャップをどのように埋めていくのかについて、多くの企業が悩んでいるようだ」とコメントする。
また、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)ソフトウェア事業技術理事の清水敏正氏は、「日本企業の多くは、自社の業務をなるべく変えずに、パッケージ側を変えたいと考える」とした上で、SCA(Service Component Architecture:エンタープライズSOAシステムにおけるサービス統合のための分散コンピューティング技術)という手法が今後用いられれば、アプリケーションパッケージ同士が更につながりやすくなると述べる。
EAIの複雑性を乗り越えるための手段となるSOA
次に、アプリケーション連携の現状と課題について藤村氏は、先のアンケートで「アプリケーション連携の実施状況」の調査結果を示した(図2)。アプリケーション連携への移行が進む一方で、「情報収集・検討中」あるいは「予定無し」とした割合も多いのがわかる。
この結果について、日本オラクルの常務執行役員でシステム製品統轄本部長を務める三澤智光氏は、「データ連携には、プログラムのメンテナンスが困難な面がある。また、それを容易にするためにEAIが生まれたが、5千万円〜1億円と高価なため、中堅・中小企業での導入は難しい。しかし、SOAのテクノロジがそれらの障害を取り除くのではないかと期待されている」と語る。